-->避けろ!助けろ! | ナノ
▼23 本日、病院にて


「どうしたの…っえ?」

一瞬何が起きたかと。

思考が停止するっていうのはこのことだと思う。


「ちょ、ちょっと、え、」

なにが起きているかをやっと把握した、


抱きしめられてる。

え、これ何事?


「よかった…」


「え?」


「莉緒が、生きていて…」


…また、心配をかけてしまったみたいだ。


「この前よりもひどい傷を負って…それも僕のせいで。
…その傷は、もう…」


なんとなくわかった。


「残っちゃうんだ、これ。」


私が言うとうん、と一言返してくれる。


傷が残るも残らないはどうでもよかった。


目の前でカキョが無事だということ、


これからさらに無茶することがあるんだからこんな程度覚悟していたし。

「でも、カキョが無事ならいっか。」

笑いながら言うと、カキョはため息をつく。


「…その感じだと、僕がもうこんな無茶をしないでくれって言っても聞かないね。」


「うん、聞かない。」


やっぱりそれははっきりと、聞けない。

無茶は絶対にする。


もしかしたら死んじゃうかもしれないこともする。


それでも私は運命を変えたい。


「じゃあ、これだけは言っておく。

これからは、僕が君を守る。」


鼓動が速くなる、温度が上がる。

この人はなんてことを言うんだ、まともに顔が見れなくなった。


「…莉緒?」


「なななななな、なんですか!」


どもりすぎた。

ダメだよさっきのセリフは、女の子ならノックアウトするよ、本当に。


だいたいさっきから私はどうしたんだろう、

いつになく心臓がバクバク言っている、



「そろそろ、ジョースターさん達も着く頃だ」

「…ってことはカキョ先に来たの?」


心を落ち着かせるために違う話題をする。

そう、落ち着け、落ちついてくれ。私。

「誰より先に莉緒に会いたかったからね。」


「はい!?」


落ち着くどころじゃないセリフが出た。


「また御冗談を…」


ケガ人にそんな冗談を言って殺す気か!?


「冗談じゃないって言ったら?」


「え」

真剣な話?

本当に?

また思考が停止してしまいそう。


「莉緒!!!大丈夫だったか!!!」


「わっ!ジョセフさん!?」


ドアが開いて、ジョセフさん、ポルナレフ、承太郎、アヴドゥルさんが部屋に入ってきた。




ちょうどいいタイミングで入ってきた?


いいところで邪魔が入った?


どっちかはよく分からないけど、みんな集まりました。


私の傷の跡がもう消えない事については、ジョセフさんが特に悲しんでいた。

女の子に、そんな傷が残るなんてとか。

でも私は気にしてないと言っておいた。

今後は、カイロを目指して行くらしい。


アヴドゥルさんの傷は浅かったらしく、もう退院してジョセフさんたちと行動する。


私は…あまりに残念なことだけど、



「数日の入院…いやだ」


「それくらい我慢しろ。あんな無茶したんだからな。」


承太郎にはっきり言われて少しへこむ。

入院は好きじゃない、いや、好きな人いないと思うんだけど。

この部屋の殺風景加減が好きじゃない。

動けるようになったら無理やり退院しよう。


「注射とかあったらいやだな…」


「切り傷で注射はねーだろ。」


ポルナレフの言葉にそれはそうだ、と思った。

でも病院=注射のイメージってぬぐえないよなあ…。





カイロまでの経路を書いた地図、スピードワゴン財団の連絡先を書いた紙を渡して、ジョセフさんたちは行ってしまった。


「…あの時」


心臓がバクバク言って、なんか暑かったのを思い出す。


あれは、もしかして


「好き…なのかな。」




一人ぼっちになった病室は、静かで殺風景で、すごく嫌で。



早く退院して、みんなに会いたい、この気持ちがよくいう、恋というやつなのかを確認したい。


そう思った。
このあとにわかる、残酷な真実を私は知らなかったから、まだ幸せでいることができた。



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