-->避けろ!助けろ! | ナノ
▼22 本日、水に難あり
なんやかんやで、スピードワゴン財団は、水や食料、医療品に着替えを置いてヘリで帰っていった。
ホリィさんはもってあと二週間と言われ、さらにDIOにはあと9人ものスタンド使いを配下に加えていることがわかった。
なかなかに前途多難…である。
そして、今車にて砂漠を移動中。
「ジョースターさん―ッなんとかしてくれよッ!なんでこのクソッたれのワン公がシートに座って
おれたちが荷台にいなきゃあならねーんだよッせまくて腰がいてーよッ」
「好物のコーヒーガムの味がなくなるまで待つしかないな…
味がなくなったら新しいガムで荷台へ来るようにさそうんじゃッ!
そのスキに座るしかないな」
と、ジョセフさんが言う。
が、ポルナレフは無理にどかせないかとイギーに手を伸ばす。
威嚇されていた。
「み、みんな大丈夫…?」
私が後ろを見ると、男三人とてもせまそうでした。
「僕は大丈夫だけど…莉緒の方こそ大丈夫かい?」
「なかなかに心臓がもちません」
私は荷台の方には座っていなかった。
ちゃんとシートに座ることができた。
何故?結界…じゃなくてバリアを張っているからです。
「おまえの能力にはその犬も近寄れないってか」
「ポルナレフ、うらやましそうに見るのはいいけどこれかなり怖いからね?ここから少し動いたら戦争だからね?わかる?」
イギーも流石にこのバリアにはあたりたくないみたいで、ほんのすこしのスペースに私は座ることが出来たのだ。
でもここから動こうとすると、威嚇されるからここが境界線なんだろう。
そんな時だった。
『ズギャアアアア』
車がいきなり急ブレーキで止まる。
何があったのか、みんなが外にでる。
ジョセフさんが指を差した場所には…スピードワゴン財団のヘリが砂に埋まっていた。
「気をつけろッ敵のスタンドの攻撃の可能性が大きい!」
兵器とかで爆撃された跡はない、これは…そうだゲブ神の仕業だ。
「見ろ、パイロットだ。
死んでいるぜ…見ろ指で機体をかきむしった跡がある」
「用心して近づけ、何か潜んでいるかもしれん」
承太郎とジョセフさんが遺体に近寄る。
その時と同時に、私の方はもう一人の生存者を見つけていた。
「大丈夫かッ!」
一体何があったのか、男は水、と一言つぶやいた。
「なに!水が欲しいのか、おいポルナレフその水筒をくれ」
違う!!確かこのまま水筒を渡すと中からゲブ神が…!!
「ヒィィィィちがうゥゥゥ〜ッ水が襲ってくるゥゥゥゥ!!」
だめだ、このままじゃ
「スカイ・カップ!」
すぐさま水筒の飲み口にバリアを張る。
が、その中の水でできた手はバリアをものともせずにでてきて
「なにイイイィィッ!!」
「……嘘」
男の顔を掴むとそのまま水筒の中に引きずり込んでいった。
首ひとつ、そのまま。
「て、敵スタンドだッ!敵スタンドが水筒の中にいるぞッ!」
全員が水筒から一気に離れる。
その時ちょうど逃げた方向が二手に別れた。
私は、カキョ、ポルナレフと同じ方向だ。
一気に走り、遠ざかったところでみんな伏せる。
あ、たしか伏せるのはだめだ
「みんな!このスタンドは下から攻撃してきたよ!!だから伏せちゃダメ!!」
そう、もしかしたら。
立ってさえいればゲブ神の攻撃は回避できたかもしれない。
私はそう思った。
立ち上がり、様子を見る。
ゲブ神はまだなにも仕掛けてこない。
私は、焦っていた。
「防御は不可能…」
水は溶けないから当たり前だ。だから今回は私もなすすべがない。
さっきだって、運命を変えられなかった。
「ポルナレフ、水筒を攻撃しろ」
血が流れ出ている水筒を見て、カキョが言った。
「お…おれが…?いやだぜ!花京院、オメーの方が近いぜ、おまえがエメラルドスプラッシュくらわしてやりゃあいいじゃねーか」
「僕だって嫌だ!」
じゃあ言わなきゃ…おっとこれは禁句ですね。
「自分がいやなものをひとにやらせるなッ!どおーゆー性格してんだてめーッ」
まぁ、もちろんポルナレフは怒るわけで。
「こ、こんなところでケンカしないの!!私がやるよ」
「いや、莉緒はそんなことする必要はない」
「莉緒にはやらせなくてもおれにはやらせるのかよッ!」
こんなにわーわーさわいでいて、思い出したことがある。
ゲブ神は水のスタンドで
「!?」
音に反応すること。
「ダメっ!!」
こんなの、立っててもかわせるけない。
「―っ…莉緒…!?」
ほとんど一瞬の出来事。
バリアがたとえ効果があったとしても張る暇がなかった。
「…カキョ、大…丈夫?」
体は勝手に動いていた。この運命を変えるのに必死で、
カキョを突き飛ばして、それから
「莉緒!!目を開けてくれッ」
「花京院!ポルナレフッ!パニックになるんじゃあないッ!
スタンドを出して身を守れ!!」
背中の方を、肩から腰にかけて…氷が走ったような感覚があった。
ああ、今度はもうダメかな…?
薄れ行く意識のなか
それでもまだ私は死ねない、そう思った。
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