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▼30 終日、世界は終わって


「それは…できない」

「…やだな、最後のお願いだよ?全く…友達でぐらい「僕は莉緒のことが、好きだ。」」

予測していなかった言葉。

なにこれ?また冗談?そんなことあるわけない


「…またからかってたり?」


「全然。
僕は君のことが好きだ。始めは無茶ばかりするし、子供っぽいなと思っていた。
でも、そんな君をいつの間にか好きになっていた。
たとえ君が、違う世界の人間でも…これから、もう会えなくなったとしても」


ダメだよ、私はもうこの世界には居れないんだよ。


「…カキョの馬鹿」


最後の最後には言わないって決めていたのに

「え…」


キミのせいで我慢できなくなった



「私は、キミの事が好きでした。
キミが私の事を知るずっと前から」



長く叶うはずない片想い


「…ありがとう。」


叶ったのに、心もどこもかしこも痛いや…



初恋が叶わないなんて言葉は、嘘だったんだね。




「そろそろ…もう消えるかな…っん」

さよなら、という言葉は言う前に止められた。

えっと…これはあれですか、はい。うん。キスされました。


「…な、なんだい突然!わわっ」


それでもって抱き締められた。


「ごめん、つい…ね」

ねじゃないねじゃ。

よく考えてみんなの前だ。


「私顔が真っ赤になっちゃったけどー…」


「僕もそうだから」


なに、カキョまで真っ赤だと…この状態じゃ見れないぞ


「顔真っ赤なカキョみたい」


「ダメ」


最期くらいOKしてよ。

…全然最期の気がしない。


でももう、ほとんど半透明状態、現実っていつも残酷だ。

行かなくちゃいけない、わかってるよ



「…このまま、時が止まればいいのに」


「カキョらしくないこというね。
私が止めたら私が消えるの止まらないしカキョが知らない間に私居なくなっちゃうよ。」

そんなこと言うのは莉緒らしくないよ、と返され二人で笑った。


「莉緒、」

耳元で囁かれる


「好きだ。」


最後は笑ってって決めていたのに

涙が止まらなくて



最期の願い事が叶って

キミに出会えてよかった

ありがとう


「本日何回目?それ」


そして


「やっぱり…消えたくないや…」


さよなら、永遠に


もし、私がこの世界に戻れるなら


キミの笑顔がまたみたいな



私の意識はここで途絶えた。

最後に気持ちを伝えることができて…よかったのかな?



(花京院視点)


「やっぱり…消えたくないや…」


聞こえた大好きな彼女の声。

最後まで強がろうとして無茶した莉緒の

最期の最期の本音。



「おかしいな……」


さっきまでここに莉緒は居たのに。

この手が、いつのまにか空っぽになっていた。


もう、莉緒はここにいない。この世界をどれだけ探したとしても、この世界でいくら彼女を待ち続けたとしても。


初恋は叶う事がないっていうけれど、こんなに悲しいものだということは聞いていなかった。


「…………」


無意識の内に取っていたのか、莉緒にあげた緑色のリボンが手の中にあった。

莉緒の存在は確かにここにあったと、それを見て思った。



再起不能

綾川 莉緒
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