-->避けろ!助けろ! | ナノ
▼29 本日、旗折り決行!


五秒経過


私がその内に動けたのはわずか三秒


運命は変わり、時は動き出す。


「これは…スカイ・カップのバリア!?」


止まったみんなも動き出し、あの一瞬に何が起きたのかと戸惑う。



「みんな!DIOのスタンド能力は時を止める!
気を付けて!!」


みんなの耳にはいるように叫んだ。



「時を止める!?
だから一瞬にして法皇の結界を…」


今までの事の辻褄が合っていく。


「時を止める…止まった時を動けるスタンドじゃと!
……!こいつはやばすぎるスタンドじゃぞッ!」


そう、わかったからといってもみんながどうにかできるわけじゃない。


時を止める…その世界に入門できたのは現在私だけ


だから



「私が…闘う
私はこの運命を変えるために来たんだから」


私は一人でDIOと戦わないといけない。全てを変えるために、みんなを守るために。




「莉緒、一人で闘うなんて無茶だッ」


「…止めないで。
どうなるかはもう私にはわからない…でも、大丈夫だから」


私はその時今までで一番、すっきりとした気分で笑顔を向けられたような気がする。


だって、私はもう死ぬことなんて怖くない存在だから。
また時の止まる感覚

無数のナイフが私の前に現れる。


「スカイ・カップ」

また時の止まった世界に介入する。

完全に変わった運命、
この運命の中でDIOはどうするのかわからない。


きっと原作より強いかもしれない。


でも、


「絶対に負けない」


ナイフの飛んできた方向、DIOの元に単身私は突っ込んでいった。


誰の制止も聞こえないふりして。

だって、死を覚悟した人間って最強でしょ?多分。


「どうした!防ぐばかりでは何もかわらないぞ莉緒ッ!!」



幾度となく止まる時、
幾つも放たれるナイフ

右手を失ってもなおDIOは強く、私は防戦一方。


負けれない


負けない


この闘いが終わったら私は消える

でも、

だからこそここで失うものはないと

死なんか怖くないと


相討ちになってもDIOを倒す、そう思えた。

時が止まる直前に私の回りをバリアで囲む


二秒の溝はそうして埋めてきた。


ナイフが来ようが防げる
それにさっきの事もあり、DIOはバリアに触れることはない。


ただ、ここにきて


ナイフがどんどん増えていることに気づいた。


DIOが私にまだかすり傷もつけていないのに余裕綽々な表情をしていた意味を…

やっと理解した。


「そのバリアは、ものを溶かす度に薄くなっていくな…?
一回に幾つのナイフを溶かせば打ち破ることができる?」


「……っ!」



段々増えていくナイフ


ただわかるのはこれ以上は無理


さっきナイフを一気に受けたとき、バリアはほとんど無いようなものだった。



「その表情からすると、あと数本も足せば破れるようだな」


そして、また時は止まった。



ナイフが投げられ、目の前で止まる。


それは私の四方八方を塞いでいた。


破れる

時が動き出せばいくつかは溶かせても、突き刺さる。


このままじゃ、刺し違えてもDIOを倒すなんて不可能。


…ここでもし負けたらどうなるんだろう


DIOはみんなを殺しにいく。

まだ承太郎は時を止めることなんかできない


きっと運命はまた、残酷に進んでいく気がしてた。



それじゃあ意味がない



「二秒経過…どう出る、莉緒」


体が動く。

私の考えはとうに決まっている。

もう私は防ぐのをやめた。


「スカイ・カップ!バリア分全部使ってあいつを溶かせ!!」


120%の力を全て攻撃に使う。

迷いはない、

大量の蝶は荒巻く海の波のようにDIOに向かう

この量は避けきれないし、弾き返すのだって不可能


「きさま…後方のナイフを知っていてなおの行動かッ!?」


「相討ち上等、これで決着がつくならね!それにこれが私の本来の戦い方!!」


三秒経過

DIOは蝶の大群に呑まれ、溶けていく


「馬鹿なッ、このDIOがこんな小娘にィ……」


「……さよなら。」



DIOが溶けて消えていった。

私が不意にこぼした別れの言葉は、多分DIOに向けていった言葉なのか……それすらもわからないでいた。



バリアを張る力は残ってないし、もうこのナイフを避ける時間もない。


せめてお別れくらい言いたかったような


いずれにしてもこの後私は消えるのみ


恐怖も、後悔もしてない。


「私は、満足だよ」


なにもできない女の子で、病室でただあの人たちの冒険を眺めて憧れてた。

そしてこの世界に来て満たされれば消えてしまう不安定な存在になって、


それでも誰一人死なすことなく上手く立ちまわれて、役に立つことができて、


すごく幸せだったと思う。これで幕引きだとしても。




「さよなら、みんな」



時は動き出した。













「…あれ?」


目を開くと、そこはDIOと戦っていた屋根の上じゃなかった。


落下した?


そんなことない、ナイフがどこにもささってないし。


「まだお前は死ぬ運命なんかじゃあないぜ、莉緒」


「承太郎!?」

もしかして、ナイフが刺さってないのは

屋根の上にいないのは…


「承太郎、もしかして…」


「3秒経過したところで時を止めた。」


みんなも直にここに来る。

変えられた運命


でもそれを実感するまもなく、私の最後の記憶が頭を一気に駆け巡った。


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