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正直いらないです
なんやかんやは、なんやかんや。

変な人らが私の部屋を堂々と闊歩するようになって、かれこれ三日。つまりは空き巣事件から三日。命を救われたという事もあってもう完全にいついている。

服とかはネット通販でお早いお届けを頼んでなんとかした。その場しのぎなのでまた会に行かなければならないのだけれど。
問題は山積み。近所の人に隠し通せるのかもまだ分からない。

「菜央海?」


ふ、と名前を呼ばれて我に帰る。周りを見るとそこはオフィス。そうだ、現在絶賛お仕事中であった。
自分のPCには真っ白な商品説明の下書きがある。


「す、すいません!書類なら……って、初流乃君」


リーダーかと思ってそちらを見ると居たのは、心配そうな表情で私を見る同期の初流乃君だった。
危ない危ない、もしこれがリーダーだったらリーダー補佐にこっぴどく叱られているところだった。

「何か考え事をしていたようですが、悩み事でも?」

初流乃君は礼儀正しい人だ。サラサラの黒髪が印象的な好青年で他の部署でも有望新人と有名人である。
同期で同じ部署と言う事もあって仲良くさせてもらっているけれど、親切でとても気が回る人だ。

「悩み事、ねぇ……」

だからと言って、
異世界からやってきたとんでもない経歴の二人の男と同居し始めた。
なんてことは間違っても相談できない。


「そんなに大変なことじゃないんだけどね、えっと……そう、猫を急に預かってもらいたいって」


「猫?」


初流乃君に心配かけては申し訳ないと思いとっさに出まかせを言う。
自分で言っておいて何だけれど、これが本当に猫だったらどれだけ良かったか。


「そう。片方は落ち着いていていい子なんだけれど、もう片方がいつも変なことして……」


「二匹も、それは確かに大変ですね。」


本当に。ドッピオ君はいい子なのにディアボロさんはどうしてこうもああなんだろう。

はぁ、とため息をつく。
相談出来たらどれだけいいか。絶対に無理だけれど。


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