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暗い夜道、響く足音。

霧がかかったように悪い視界に、体力の限界。

縺れる足、止まる足音、崩れ落ちそうになる体。


「決めろよ、ここで死んでいくのか、それとも生きるために付いてくるのか」

その男の声がどこまでも本気だったのを覚えている。
14歳程度の子供に対し、本気で殺しても構わないと言った感じで、

追い詰められた裏路地の袋小路。気味の悪いものを連れた男に追われ、逃げようにももう逃げ道もなく、それでも絶対にその場で死ぬわけにはいかなくて、


ギャングなんて、大嫌いだ。

自分と彼女のすべてを奪った奴らなんか、憎んでも憎みきれない。

それでも、ここで自分が死んだら、彼女はどうなるんだ。


「僕は……」


そうだ、彼女を守るためなら







「……!イルーゾォ!」


「っ、あれ……ミェーレ?」


心配そうにのぞきこむ顔。時計を見れば時刻は昼。
白昼夢、という言葉がよぎる。


「うなされてたから起こしたんだけど、どうしたの?」

うなされるほど、酷い夢。
と、いっても夢の内容はすでにおぼろげで、それほどに酷い内容だったのかも思い出せない。


「多分、いやな夢を見てたと思う。」

曖昧な回答。
それでも、きっといやな夢をみていたのだと伝えると、なら起こしてよかったと彼女は顔を綻ばせる。


なぜだか、その顔を見てとても嬉しく思える自分が居た。



あの時の選択は、間違っていなかったのだと。

 

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