とてつもなく嫌な夢を見た。

夜中に歩いていると突然、わけのわからない運転して走ってきた車にはね飛ばされる夢だ。
運転手の野郎はなにをかんがえたのか、轢いたあとにわざわざ俺を見てニヤッと笑ってまた車に乗って走り去っていった。

全身の痛みと、血の気がどんどんと引いて行くさまが嫌にリアルだった。






イタリアンギャングの朝は遅い。

と、いうか今日その日は遅かったというのが正しいだろう。


カーテンから差し込む光、冷たい手が頬をぺちぺちと叩いている。
今日はほぼ非番だ、意地でもまだ起きないと良くわからない対抗心を抱きながら彼は寝ていた。

それにしたって、この冷たい手は誰なのか。チームの中でわざわざ彼を起こしに来るような人なんかいない。
だからといって、こんな悪ふざけじみたことをしてくるのは、どうせあのメローネだろうと思いプロシュートはぶん殴ってやろうとした……のだが、まず目が開かなかった。
そして、手も動かない。足も、起き上がることなんてまず無理だ。


縛りつけられたわけじゃあない。大体縛りつけられているだけなら、目は開くはずだ。
だからと言って何か盛られたとは考えられない。盛られたなら、意識すらもこんなにはっきりすることはない。

頬を叩く手が止まる。

止まって次は手に触れる。握るように、じんわりと体温を取るように。



気持ち悪い?
気持良い?


嫌な気分ではない、決して。
逆にそれが、気持ち悪く思えてこないことが嫌に思えた。

「起きない。………」

その声がチームの者の声ではないとわかるやいなや、嫌な予感がして、今までの動けない感覚をすべて振り払い彼は目を開いた。


  






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