長い長い夢を見ていた気がする。
だれも私なんかに気付いてくれない、だれにも触れることなんてできない。
冷たい、寒い、つらい、もうすべてやめてしまいたい。
すべてやめてしまえば楽になれる、だからもうやめようって。
そんなとき、私を助けてくれる人が居て
だから、諦めるのをやめて
「…………」
最初に目に入ったのは、薄いカーテンの生地から覗く光。
そして、真っ白な天井。
「………?」
周りを見ても誰もいない。
横には、点滴と生体情報モニタがある。
まるで、重症患者みたいだ。
廊下からは、人の声が偶に聞こえ、足音が聞こえる。
その中のうちの一つの足音が私の部屋の前で止まった。ドアが開く。
「!?」
看護師だ。看護師は私が起き上がり周りを見ているこの状況にとても驚いていて、私と目が合うなり、走り去っていってしまった。
このことから推測するに、私は重病患者だったんだろう。
そして、私は死んでなんかいなかった。
それはそれでまた滑稽な話だ。
先生先生という慌ただしい声をよそに、ふと窓辺を見る。
花瓶だ。花まである。
意識不明とかだったら、そんなわざわざ私に花をくれる人なんているものか。
それも、つい最近に持ってこられたかのような、青い薔薇。
そのほとんどがつぼみ。
―― 花は送ってやる。待ってろ
墓以外にどこに送るんだか。
なんて思っていたけれど、こういうことだったのか。
「神の、祝福」
青薔薇の花ことばを呟き、私はまたあの人に会いに行こうと思った。
この青薔薇の蕾の花束をくれたあの人に。
次は、暖かい手で。