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「……彼女さん、体はどうしたんですか」


「証拠隠滅は完璧だ。…方法は君に言ってもわからないだろう」


「これが初めてじゃないですよね、足はつかないんですか」


「さっきも言った通り証拠隠滅は完璧だ、それに狙うのは主に観光客。行方不明事件になっている。」


吉良さんは私の質問に淡々と答えてくれた。

これは、どうせ私を殺すからということで答えてくれているんだろうか。


「私も…こうなってほしい…?」


重要な質問。

私は正直、殺されたくはない。案外冷静でいられるけれど、これは確定。


「できない。理由は二つ、従妹の君を殺せば足がつく可能性が高いのと、君の手を切り離して腐らせるのはもったいないからだ。」


確かに、吉良さんが私を殺したら、容疑者になって、最悪ばれるだろう。


…もう一つの理由には触れたくない。


「だったら…なんで私に彼女を見せたんですか?…わざとみせましたよね」



殺されないとなるとまた疑問、なぜ質問に答えたのか、なぜ彼女を見せたのか。


私が今スグに逃げて通報するとかは考えないのか、


「君には、知ってもらいたくなった。」


「…それだけですか」


「それだけだ」



…想像以上に簡潔な理由だった。



「それにしても…ここまで話してパニックにもならない女性は君が初めてだ、未來」


「私にもわかりませんよ、悲鳴とか上げる気にもならないんです。好奇心のほうが上回っていて」


ため息をついて鞄を持つ。


私が今日ここにいる理由はもうないはずだ。


「帰るのか」


「はい、もうここにいる理由もないですよね今日は。家には早退したとでもいいます」


そして、紙袋を吉良さんに返した。


きっと彼女はすぐに手を切られてしまうんだろう。


「…止めないんですか」


「止めなくてもわたしに不利になるようなことはないからな」


…うん、たとえこのまま通報しても彼女はすぐに手を切られるわけだから証拠がない。

まぁ、なぜか私は……



「じゃあ、本当に帰りますね。」


すたすたと私は部屋を出て玄関に向かった。


吉良さんは、玄関まで来てくれなかった。


「…本当はもう一つ理由はある、君の手だけじゃあなく君本体に興味がわいた。」






私はその日は家に帰ってずっとぐだぐだとしていた。


何もする気になれなかった。


頭の中はぐちゃぐちゃになっていて、急に後悔のようなものが押し寄せて、




もしかしたら、あの時殺されていてもよかったかもしれない




そんな意味のわからないことが思い浮かんだ。



きっと私も変なんだろう。


次に吉良さんと会ったとき、どうしたらいいのかわからない。



でも、次の日から、何日も吉良さんが私の前に姿を現すことはなかった。




食べちゃう、は冗談に聞こえません






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