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家は安全地帯

そう思った時期が私にもありました



帰路につき、朝の事を思い出した。


吉良吉影、確かに彼はそう名乗った。

いったいなんだったのだろう、突然手を掴んでほめて、手を嘗めて(もちろんあの後手は洗った)。

今までそんなに手について何か言うような人もいなかったのに。

そう言えば…手を切り取るとか、腐るとかなんか物騒なこと言ってたような…

いや、まあいいよ、もう会うこともないだろうし。そのうち記憶からも消える。


もうあの道は絶対通らないし、今後一生一時限目をさぼるとかしない。


「ただいまー」

「おかえり」


キッチンから母の声。

日常に戻れた感がすごくする。

リビングのソファ、私の特等席に座ろうとした時、


「やあ、未來「うわくぁああああああああああああああああああでたああああああああ!!なんで!?」」

やつがいた。

日常になんか戻れてなかった。

吉良は私の席に座っている。

いや、まて、何故ここに。

「ああ、その人は吉良吉影さんよ」

「いや母さん、そこじゃあない、聞いているのは何でこの人がここに居るかってこと!」


笑えない、この状況笑えない。


「何故って…未來覚えてないの?」

「いや何を」


母は不思議そうに私を見る。

何か忘れてたことなんかある?無いよ。


「仕方ないですよ、彼女に最後会ったのは十数年は前ですから。」


十数年?何を言ってるんだこいつは。今朝初めてあったじゃないか。


「十数年…なら仕方ないわね、吉影さんは未來の従兄弟よ。」

「え、従兄弟?…ハァ!?従兄弟!?」


母は久しぶりに会って家に上げたとかいろいろ言っているけど、そんなことは耳に入ってなかった。

頭の整理ができない。

え、従兄弟?私の親せきこんな変態だったの?

え、やだ。

母がキッチンに戻る、私はポカーンと放心状態。

そんなこと気にせず吉良は私の手をなで始める。


鳥肌が立つ。


「実に幸運だったよ。まさか従姉妹がこんなに美しい手の持ち主だったなんてね。」


「私は実に不幸ですよ、親戚にこんな変態が居るなんて。」



「照れなくてもいいだろう」


「どうしたら照れてるように見えるんですか」


都合のいい目をしているなほんとに、

と、言うかいったいいつまでここに居るの?


「従兄弟とか絶望的すぎる…」


「従姉妹なら結婚はできるから心配することはない」


「どうしてそこが心配な点になるんだ!?」


頭を抱え込む。

一体これはどうしたらいい。


「では、これくらいで帰ることにするよ」


「え、本当!?」


「そんなに悲しそうな顔をしなくてもいい」


「めちゃくちゃうれしい顔してますが」


よかった、これでやっと変態からひと時は解放される。


『パシャッ!』


「……その手に持ってるものは」


「携帯だが?知っているだろう?」


そうじゃねえよ。


何でこの人私の手の写真撮ってんの?


「あの、盗撮が犯罪って知ってますか?」

「正々堂々と撮っているが?」


まさかの回答。

そうじゃない
そうじゃあない、相変わらず連写機能まで使って撮ってるし。


「せめて許可を取れ、話はそれからだ。

ってかそんな写真撮ってどうするんですか!?」


「悪用はしない」


「悪用されてたまるか!何に使うんですか!?」


「何って…ナニにきま「やっぱりいわなくていいです、てか言わないでください」」


終始このペースに。

満足いくまで写真を撮って帰った。


これから起こることが何か分からないし、従兄弟とは言え得体が知れない人。

嫌な予感しかしないうちに、今日という日は終わっていくのでした。



盗撮が犯罪って知ってますか?



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