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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Una squadra
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今すぐにでも足元から崩れ落ちそうな気分に耐えながら、状況を整理する。
ここは、イタリア。それも8年前のイタリア。
私の知り合いは日本に居るけれど、誰一人として私を由紀と、花京院由紀と信じてくれる人はいないだろう。
つまり、私はこの世界で一人ぼっち。頼れる人もいなければ帰る場所もない。
マンガみたいな話だけれど、私は時をさかのぼってしまった。それも、海外。
これからの事を考えると手が震える。帰り方なんてわからない。帰れるかもわからない。
「どうした、おい」
「お兄さん、私の帰る場所なかったみたいです」
「なッ、どうしてそうなった」
震える声。手の震えはもっと強いものになる。
声を出すごとに息がつまりそうになって、泣きそうになる。
「知り合いもいなくなりました」
「………」
お兄さんは、聞き返すことなく黙って私の言葉を聞いてくれる。
頭がおかしくなったと思われているかな、それとも、適当に聞き流せば早く解放されると思ってるのかな。
「……っ、引きとめてごめんなさい。お兄さんも忙しいですよね。」
お兄さんは私と無関係の人だ。
偶然出会って、スタンド使いだったから話が通じただけ。
これ以上無理言っちゃいけない。
そう思って、私はお兄さんの腕を離す。
これから、私はどうすればいいんだろう。
「待て、突然帰る家も知り合いもいなくなったってーのはどういうことだ?殺されでもしたのか」
お兄さんの前から去ろうとしたら、今度は逆に腕を掴まれる。
話すまで離してもらえそうにない。
殺されでもした、なんてデッドオアライブなことはない。
そこまで悲惨なわけでもないけれど、それに近く悲惨なことだ。
「お兄さん、私が未来から来たって言ったら信じてくれますか?」
「どうして未来から来たということになったのかの説明次第で信じてやる。」
まず、ここに来るまでのいきさつは話している。今の電話の内容から話していくべきだろう。電話に出たのが、私だったこと。それは間違い電話ではなく自分の母親の声もしていたこと。
そして、ディスプレイに2007年と表示されていること。
「………信じてくれますか?」
「まあ、嘘を言ってるようには見えねえ。証拠はいまいちだけどな。」
証拠はいまいち……そりゃあ、100年後から来ましたなんて言えばきっと、すごい機械とか持っててそれ見せたら水戸○門が紋所みせてははぁってなるくらいすぐに納得させることもできるんだろうけど、大体10年位から来ましたなんだからイマイチな証拠しかない。
それでもお兄さんは納得してくれたみたいだ。
「信じてくれて、ありがとうございます。で、あのこの手は」
「これからどうするつもりだ?」
「えっ」
どうするつもり、といわれてもそれをこれから考えるつもりだ。
まず、私に帰るところはなく、いつ帰ることができるかもわからない。それどころか帰れるかどうなのかもわからない。
でも、
「帰り方がわかるまで、どうにかここで生きるつもりです。」
「あのなァ、ここはテメーみたいなガキが一人で生きていけるような場所じゃあねーんだよ。治安も悪ィし」
「それでも、帰れるまでは一人でがんばるんです」
ひとりぼっち。一人ぼっちはとても辛いことだ。
つらいけれど、それしかない。
「泣きながら言われても説得力ないぜ」
「うっ、お兄さんには関係ないです。それに、治安が悪くても私にはソードが居るから大丈夫です。」
とんでもなく強いスタンド使いが現れて私を殺そうとしている、と言うことがなければ多分大丈夫。
一般人でチンピラ程度なら軽くいなせる。
この世の中には家もなく生きている人だっているんだ。
「そのスタンドをこの辺で出すのが危ねーんだよ」
「えっ?」
「あ゛ーッ、説明は後だ着いて来い」
「え、あのお兄さん?」
お兄さんは私を引っ張る。
着いて来いって言うか、もう連れて行かれてるというか。
お兄さんは偶にクソッとか悪態付いている。
「お兄さん、どこへ行くんですか?」
「説明は後っつっただろーが。あとそのお兄さんって言うのと敬語をやめろ」
「……名前知らないんだけど」
「ギアッチョ」
「ギアッチョさん?」
「さんはいらねーよ。」
年上を呼び捨て、とな。
と言っても、思いっきり年上にため口や呼び捨ての人が知ってる人に居るしいいのかな。
それに良く考えたら海外のさん付けってあんまり聞かないし。
「じゃあ、ギアッチョ。どこに行くの?」
「三度目はいわねーぞ。」
「説明は後、と。」
ギアッチョはわかってるならもう聞くなと言って手を引っ張り先ほどとは違う道を行く。
どちらかと言うと住宅街のほう。店とか道路とかが無い方。
一体どこに連れて行かれるんだろう。うーん、人身売買……
まさか、人身売買………
でもこの人がそんなことするとは思えないし。
まあ、どう考えても一般人なんてことはないと思うけど。
最悪どうにかして逃げよう。いらぬ心配だとは思うけど。
そうして、引かれるままについて行くと一軒の家に着く。
「ギアッチョの家?」
「俺だけの家じゃあねェ。」
ドアを開け、その家に入る。
どんな場所に連れて行かれるんだろうとは思っていたけれど、なんてことはない普通の玄関。
部屋に入るまではわからないけれど、ここからいきなり恐怖を感じるようなものはない。
Prima _ prossimo
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