-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ
終り



あれから、二年の時が経った。

あの時、あいつの中身を取り戻すことを誓って二年。

その時とは言っても、ボスに逆らうことは無理なんじゃあないかという空気の中希望が舞い降りたんだ。

それは、娘の存在。
ボスの娘の存在だ。唯一、ボスの過去を知るのに、正体を知るのに繋がる手掛かり。


最初に、その娘がどのチームに居るのか目星をつけて、護衛チームの奴を尾行しに行ったのはホルマジオだった。

娘が確かにそこに居て、そいつらの隠れ家がどこなのか情報を流してそのまま音信不通になった。

次に、その情報からそいつらが逃げるためにポンペイに行くことが分かりイルーゾォが始末をしに行った。
確かに鍵を手に入れたといっていた。だが、そのまま帰ってくることはなかった。

そして、その鍵を使って奴らがどこに逃げるのか、駅に全員集結していると情報を受けて向かったのはプロシュートとペッシだ。
亀のスタンド使い。そいつの中に身をひそませている。それを伝えてこの二人も音信不通となった。

そいつらの死体を見つけたのはメローネだ。
メローネの奴はとうに列車から降りた奴らを追跡し、一時は娘を奪ったらしい。

次は連携して奴らを始末する。
そんな連絡をしているとき、突然メローネとは音信不通になった。


結局、残ったのはオレとリゾットの二人になった。

残りが何人になろうと変わらない。
オレは、ただ二年前に失った物を取り戻すつもりでいた。


由紀の中身、全部。


だが



なにも、何ひとつ。
俺は、なにひとつあいつのものを取り返すことができなかった。


「カ…ッ、ハ……」


喉を貫く鉄柱。血液を凍らせて、確かに奴には勝てた。
けれどもう俺に何かをする力が残っているかといえばそんなものはない。

俺の手で、必ず。

必ず、取り戻してやるはずだった。

あいつの中身全部、俺の手で。


「……あなた、だったんですね」


そう、敵は二人いた。
片方はどうにかした物の、もう片方は大した傷はなくこちらに向かってくる。

首から血が流れ始める。
凍っていた血が流れるのはスタンドを維持する力ももう残っていないということだ。


なぁ、恨んでいるか?

巻き込んだのはオレで、中身も取り戻す事が出来ない。
結局、お前を殺したオレをどう思っている?


それでも

それでも、オレは、お前の事が




叩きつけられる衝撃と首に食い込み貫く感覚。


もし、また会えたならば、今度こそ






―END―



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