-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ
さよなら



朝早くに、もうギアッチョとリーダーがいなかった。
たしか、今日は偵察だと言っていたから午前中で終わるということなんだろう。

と、仕事の予想はいい。
それよりも今心配しているのは……

「ちょっと派手。あと色合いが悪いのとコートはナシ。眼鏡にも合わない。」

「え、えぇー」

「えーじゃあない。」

昨日と違って今日のアジトは人がいない。
私と、ソルベとジェラートがいるくらいで、大体が仕事であとは外出。
そして現在しているのは

「流石に……コートはこの季節にはないだろう」

「だめかぁ……。」

今日の午後に出かける服の見立てである。
着ていく服を数着だして考えていたところを二人に見られたところからそれは始まった。

……の、だけれど、すごくアレだ。二人の、とくにジェラートのチェックが厳しい。
これならいっそ何も考えずに制服で……

しかし、なんだか昨日は仕事がうまくいったかなんかでやる気に満ち溢れているお二人さんの徹底的にやるかんの前では、そんなことは間違っても言えるわけがない。


「制服とやらは無しね。アレどう見たって海兵だし。」

「海兵って……あれ日本ではふつうに」

制服とか考えたらこれである。
セーラー服は元々海軍の服であるのは百も承知だ。
だから今回は、ちゃんと服を選んでいる。

「ここでは普通じゃないから。ほら、次」

とはいっても、服の組み合わせなど服を決めるのは私だ。
二人がアレを着ろこれを着ろと言ってくるわけじゃあない。
けれど、これで9敗目。結構自分にセンスがないと落ち込んでいる。

基本的に、服決めてくれるのが、お父さんだったし……。
ここで、それが仇になった。

リビングを出て、洗面所にいって服を考える。
現在時刻10時30分。
1時にギアッチョが帰ってくると考えると、それまで2時間30分。
これまでに30分かけているところ、時間はあるようで、この調子ならスグにすぎかねない。
次こそはとこの前拝借してきた服を見る。
と、いってもこれもほぼ私の趣味で持ってきたこともあって、もはやここに正解がないような気すらしている。

「さっきのは派手だったんだよね……」

今着ているのは、薄緑のTシャツに緑色のスカート。
……派手、というのはきっと全身が緑過ぎて、ということなのかもしれない。

そうなってくると、いったん緑から離れる必要がある。

ガサガサと着てもいない服の入っている袋を探す。
拝借したはいいけれど、結局制服ばかり着ているので案外着ていないものがある。

その中で、水色した花柄レースの付いた服を見つける。
こんなのもあったんだ。
あの時はイルーゾォがそんなに急がなくて良いと言っていたけれど全然焦っていてそれどころじゃあなかったから憶えていなかった。

結構かわいいので、次はこれを着て行ってみよう。
色も変わっているから良い評価かもしれない。


眼鏡をはずして、先ほどの服を脱いで畳んでから、ワンピースなのでさっと着て洗面所から出る。
リビングのドアを、今度こそいい評価でありますようにと願いながら開ける。


「「………」」

「…え、と、どうでしょう?」

一度前、後ろ、横と色々な角度で見られる。
さて、どう評価される。


「まあ、悪くはないかな。ギアッチョなら高評価かな。」

「確かに、ギアッチョが好きそうな格好だ。」


二人からするとまあ合格点みたいだ。ようやく。

それでもってギアッチョから高得点をもらえるのならそれは上々だ。
今日出かけるのはギアッチョで、見てもらいたい、高評価をもらいたいのは誰でもないギアッチョなんだから。

あれ?


あれ?なんで、私ギアッチョに見てもらいたいんだろう。
人と出かけるというのは初めてではない。何度だってある。
同級生と出かけるということはないけれど、この前みたいに兄貴だとか、チームの人と買い出しだとかはある。
あるけれど、ここまで服装に悩んだことはない。お父さんと出かけるときだって考えたことない。


変なの。


なんか、すごく楽しみでしかたない。
きっと、今までと違って観光できるからだ。ただ、知らない場所に行けるという事が嬉しいだけだ。

それだけだ、きっと。


「由紀の洋服も決まったし、さってお昼お昼〜!」

「……そうだな。」

「はーい。って、まだ10時30分だよ!!」

「お腹すいたんだからいいじゃん。」


悪いと強く言えないのがまた。
まあ、二人はこの30分付き合ってもらって世話になったのだからいいとしよう。
冷蔵庫と相談して料理を作るのにも慣れてきた。なんだか、ここで花嫁修業しているみたいだなぁ、なんて思ってきた。
だって、10人分。それも働き盛りの男の人たちの食事を作って、毎日洗濯して。

おお、なんかこれスグにでも結婚しても十分な家事ができる程度な気がする。


そんな10時、異変に初めに気付いたのは、ソードだった。


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