-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ
intenzione



「人を殺したことは、あるよ」


白昼堂々、このチームは物騒な話になる。





洗濯の方法を覚えて、リーダーの料理の手伝いとかをして何事もなく日々を過ごしてかれこれ一週間。五月。
過去に来たとは言っても、向こうとの時間軸と言うのはどういうものになるのか。
このまま帰ることができなくなって何年かして、戻ったとして向こうでは時はたっていないのに自分は20歳、とかになっていたらすごく困る。
そんなことを考えながら洗濯ものを干す。
初日はてっきり屋上に干すものだとばかり思っていたのに部屋干しなんて言われて干し方に迷ったり、量の多さにいろいろ困惑もしたけれど一週間もすると結構慣れた手つきで早く終わらせられるようになった。

不思議と量が減った、というのもあるけれど。


数名自分で洗濯するようになった者がいる。

そんなことをリーダーが言っていたのを思い出す。

それはいいことなのかよくわからないけれど、自分のことを自分でできるのはいいこととして考えよう。

浴室に今日洗った分の洗濯物を干し終わってリビングに向かう。
部屋干しでも嫌な感じにならないのは、きっとここは湿度が高くないというのもあるんだろう。


そんなことを考えてリビングのほうに向かって歩いていると


「あ。兄貴任務お疲れ様です!」

「……あァ、どうも」


確か、昨日夜から出かけていた兄貴と遭遇した。
一言返して通り過ぎて行った兄貴は任務終りでこれから寝るところか、
特に傷を負ったようにも見えず、
相変わらずどんなスタンドを持っているのかは分からないけれど、強いんだろうな。

それにしても……


「機嫌、悪そうだったなぁ……」

いなくなったのを確認して誰に言うわけでもなく呟く。
確か今日の任務、組んでいたのはペッシだった。何があったのかはきっとペッシが知っているんだろうなぁ。

何があったのか、仕事をしくじったってことはまずない。

とりあえず、ここに居ても仕方ない。


「Ciao、由紀!洗濯お疲れ!」

リビングの扉の前には、ジェラートとソルベがいた。


「ありがとう……だけど、どうしたの二人してそんなところに」

ちょうど今リビングから出てきたというわけではない。
本当に、そこに居た、というのが正しい。


「……気にするな」

「そうそうソルベの言う通り気にしなくていいよ」


ちょうど二人してドアの前に居られると、入室するのにとても邪魔である。

というか、これは入ってはいけないんだろうか?


「入ってもいい事はないといっておくよ」


相変わらずのジェラートによる謎の読心術。
いい事はない、つまり悪いことがある。
そうは言われても、自分は部屋とかそういう昼にぼーっと居られる場所がない。リビングくらいしか。

それに、夕飯の下ごしらえとかだって今すぐにじゃあなくてもある。


「じゃあ、こっちからはいるのはやめとくね」


なにもリビングに入れるドアはここだけじゃあない。
リビングに入れるドアは玄関から近いここと、もうひとつキッチンに直結しているほうがある。

そういって私はキッチン側のドアに向かう。
それを二人が止めなかったところそこまで深刻な事態でもないみたいだ。
もしかしたら、からかわれたのかもしれない。

そう思って、ドアに手をかけて開け、キッチンからリビングに出た。


「…………」


「………」


ソファで、ペッシがうなだれていた。
それはもう、この世の終わりとでも言いたげな様子で。
そんな状態のため、部屋の状態はものすごく、
メローネの言葉を借りるならディ・モールト暗い雰囲気だ。

一体ペッシに何があったのか、ああ、そうだ任務。

兄貴の不機嫌、ペッシのこの状態、絶対に任務で何かがあったに違いない。

しかも、これはきっと私が入ってきたことにも気づいてないだろう。
今ならきっと何事もなかったかのように出て行くことはできるだろうけれど、それをしたら、なんか……すごく、後味が悪い。

リビングに他の人はいないか、と見ても誰もいない。

確かリーダー、イルーゾォは任務。
ギアッチョ、メローネ、ホルマジオは……外出?
ソルベとジェラートはさっき部屋前に居た。

これは、つまりは、放置安定とでもいうことなんだろうか。


「……任務、お疲れ様」

「……うん」


放置安定とか言いつつ、ソファの、それも隣に座ってしまったこの状況。
どうにも、放っておくという選択はできなかった。が、気まずい。


「えっとさ、無理に言わなくてもいいけど……なんかあった?」

「え、そ、そんな風に見えるか!?」

そりゃあ、ものすごく。明日がこの世の終わりとか、そんなとんでもないこと抱えてるみたいに見える。

その質問にはYESとして、首を縦に振る。

するとペッシはため息をついて、そっかと一言言う。
よく見ると、片頬が赤く腫れている。叩かれたんだろうか。

とりあえず一旦ソファから立って、キッチンに向かう。
キッチンで持っていたハンカチを濡らすと、またソファに戻る。

「冷やしなよ、痛いでしょ?」

「ぐ、グラッツェ、由紀」


とりあえず、痛々しいのでハンカチを渡しておく。
応急手当くらいにはなると思う。


Prima _ prossimo


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