-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ
ciliegio



真夜中。
リーダーの書類整理の音を聞きながら就寝する事にも慣れてきた。

なんとなく、この前司の事を思い出したせいでちょっと寝苦しい日が続く。

双子って言うのは不思議な物で、やっぱり二人揃っていないと何か調子が悪い。


時間はどれくらいか。寝るといったのが確か0時で、いつ寝ているのかよくわからないリーダーが書類整理を再開して……
そういえば、誰かが外に出て行く音も気した気がする。

静まり返った部屋で、やることもなくぼーっとうとうとしていると音はよく聞こえてくる。


大丈夫、このままうとうととしていればそのうち何もかもを忘れて眠りに落ちれる。
眠りというのは、自分が気付かないうちに来るものだ。


『ガタッ』


ゆらゆら、眠りに落ちようとしていたら、イスから立ち上がる音。
ついスッと眠気が消える。もう少しだったのに。

そのあとドアの開く音がして、廊下に出て行く足音。
これはごく些細な、小さい音。気を使ってくれたのかそれが彼に身に着いてしまったものなのかは分からないけれど、過敏に音が聞こえる耳にはそれがわかった。


階段を下りる音。
ふと起きあがってデスクを見ると、書類はない。

つまり、もうここに戻って書類整理をするつもりはないみたいだ。


と、なるといったいどこに行くつもりなんだろう?
こんな夜中。お仕事が今日ある事は聞いていないし、急に入ってきたとしても何の準備もなしにということはないだろう。大体、仕事着じゃあなかったし。

好奇心が、刺激される。


どこぞの漫画家じゃあないけれど、それと一緒にされるのは至極嫌だけれど気になってしまった物は仕方ない。

目はばっちり冴えてしまったし、どこに行くのかは気になるし。


そっと部屋から出て見ると、玄関のほうから物音。
外に行く準備……?ますますどこに行くのか気になる。

と、言っても流石に一人で外に出るのはどうなのか?リーダーをちょっと追うのはリーダーと外出したということに入るのか?

……入らないよね。

でも、ばれないようにちょっとついて行って、遠いところに行くようならすぐ帰ればいいかな?


「あ、人の許可もらえば」


良い事考えたかもしれない。





「と、いうことなのイルーゾォ!」


「……なんでオレなんだよ」


と、言う事でイルーゾォに頼むことにした。


「だって、頼める人イルーゾォくらいしかいないし……ほら、イルーゾォ経由じゃないと外も出られないし」

「だからって…、リゾットの後つけるとか怒られるから嫌だ。」

確かに怒られるのは嫌だ!
リーダー怒ったら怖いし。怒られた事はないけれど怒っているのはみたことある。
あの怒りが自分に向けられる事なんて考えたくもない。


「イルーゾォは私を外に出してくれるだけでいいの!大丈夫、すぐに帰る」

「それを人は死亡フラグという……」

「早くしないとリーダー行っちゃうよ!お願い!!」

イルーゾォは心底可哀そうな物を見るような眼で私を見る。
そんな目をされても食い下がらない。ここまできたらどうしても知りたい、リーダーがどこに行くのか!!


「……30分な。15分追いかけて15分で帰ってこい」

「うん!分かった」


短いとかわがままは言わない。ちょっとでも自由時間があるのは嬉しい。
イルーゾォの能力が行使されたのか、いきなり周りがしんとなる。


「今日はアジトすぐ隣の家の裏口側。」

「了解です」


リーダーが玄関から出たのを確認して、少ししたらイルーゾォがドアを開けて私は鏡の世界で隣の家に向かう。
隣接、というか隣に家は一軒しかない。もう片方は特に何もない空き地だ。

ここって誰が住んでいるんだろう?
なんて考えはいいとして、家の裏口に回る。


「ほら、見失う前にさっさと行け由紀。」

「はぁい!30分で帰ってくるね!」


ソードでリーダーがどちらに行ったのか探知しながら先に進む。
夜に家を抜け出すのって、なんでこうもわくわくして仕方ないんだろう?





見える程度に、近づかないように。

相手は暗殺者だ……こっちは素人……。

リーダーは、私服も黒いものが多いせいで夜は本当に分かりにくい。
今日も黒い服だし、夜道の黒い服は車にひかれやすいのに……と、まあそれは関係ないか。

「ソード、しーだからね」


犬サイズにしているソードのほうを見て、とくに意味があるわけでもないけれど言うとソードはこくりと頷く。
なんだろう、探偵?スパイ?なんかかっこいい、気がしてる。


追いはじめてまだ数分。
でも、この数分でも暗殺チームのリーダーをばれずに尾行してるってすごい気がする!
もしかして、才能あるのかな?


自分の新たな才能を考えながらリーダーを見る。
そう言えば、この道って……あのバーへの道だったような…

と、言ってもこんな深夜帯までやっているものなのだろうか?

詳しい事はわからないけれど、大抵海外の店って言うのは日本よりも営業時間は短いって聞いた事があるような……。


あ、でもこの前のマスターと仲がいいと言っていたバーなら店仕舞いしても入れるのかも。


マスターってどんな人なのかな。組織の人間って言ってたから、ギャングだよね。

ギャングで、マスター……漫画でよく言う、情報屋みたいな感じ?
マスターっていうと老紳士系とか…あらやだかっこいい…



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