-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

conoscente



「未来から来て、また過去に……?」

由紀はジョルノに、これまで起きた事を全て話した。
それと言うのも、ジョルノならばまだ組織の人間ではなく、組織を乗っ取るつもりでいる。
現在の組織のあり方に疑問を持っているからであった。

「信じられないと思うけれど、全部本当の話なんだよ…。」

「…まぁ、それなら今ここにいる由紀が前に会った時と変わりないのにも頷ける。
それに、このスタンドと呼ばれるものの存在を考えればあり得なくもない。でも」

「でも?」


「そのチームの事を、僕に話して良かったのか?」


そう思うのは尤もだろう。
少しの沈黙。


「ジョルノ君は、私を助けてくれたから。だからね、信じてるの。信じてるから、全部話そうって、信じた人に嘘つくのは嫌だから。」


それは、二年前。
結局バレバレな嘘をついて、それでも信じてくれた人たちに向けた言葉でもある。

信じた人に対して、もう嘘はつきたくないと。


「…信じてる、か。僕も、由紀が悪い人ではないと思っている。あの時から。」


一通り、お互いの訊きたかった事を情報交換する。
しかし、由紀にはなんとなく、金髪になった理由を聞けなかった。

突然金髪になり、染めたわけではないという事を聞き、それ以上は聞いていない。
なんとなく、聞けないでそのままにした。


「それにしても、入団が認められたとして君はどうする?住む家もないのに」

「それなんだよね……」

仮に、あのチームに戻るとして
いいや、それはできない。
世話になった分の恩返しのためにも、何か情報を
彼らには知りえなかった情報を手に入れたい。

「ま、まぁ、どうにか頑張るよあはは……あ、窓の閉じまりも確認するね、」

難しい現実から目をそらすごとくいまは目の前にある問題について考える。
今はなによりも目の前の課題をこなす事が重要だと由紀は思った。

窓に近寄り、きっちり閉めようと由紀は鍵を確認する。

「あ、その窓のカギは日本のとはかなり違う、僕が……」


そうジョルノが窓に近づいたとき、ガチャリ、と勝手にドアを開ける音がした。

「「!!」」

ノックもしないで誰か入ってくる事なんてあるのか、もしかしたらジョルノの友人なのか、それとも先生などか、由紀に多くの考えがよぎるが、ジョルノの驚きようからこの出来事はイレギュラーな出来事と理解する。

いずれにせよ、この学生寮で関係者ではない上に異性の由紀を部屋に入れていたとなっては体裁の悪い事であろう。

そう思った瞬間、ジョルノは窓を開けて、雨どいに飛び移る。
ジョルノは誰が入ってきたのか確認できたようで、表情は驚きに満ちている。
由紀もそれに倣い、窓から出て少し広めの窓台にぶら下がる形で掴まる。
とはいえ、女性の力。足をつける場所があるのが幸いしているが、どうにか早くどこかに行ってもらいたい。


「またあの日本人だッ!」

そう、小声ながらも言うジョルノの声に、一体どんな人物がと窓台に掴まりながらどうにか安定してきて余裕の出た由紀は、侵入者の顔を見ることにした。


「………!!!康一、お兄ちゃん!!」


何故ここに、あり得ないところでの出会いに叫びそうになる声をギリギリのところで押し込めて由紀は言う。


「まさか、知り合い…?」


ジョルノの問いに、こくりと頷く。

こくりと頷いたところで


「でも、私だけが一方的に知ってるだけで、向こうは私の事知らないけれど…」

そう彼の知っている花京院由紀は、この2001年に日本で暮らす8歳の花京院由紀なのだ。
ジョルノはその事を察したのか、それ以上は訊かない。
そのかわり

「にしてもまずい…ライターを置きっぱなしだ。」

「あっ……」


そうだ、お互いとにかくみつかってはならないという事態に必死になっていた。
そのため、部屋に置いてあった絶対消してはならないライターを二人しておきっぱなしにしていたのだ。


「火のついたライターが部屋に置いてあったらコーイチはどうすると思う?間違いなく消す……でもそれは」

そう、起きてはならない事だ。
ライターの火を守りきれないということは、パッショーネの入団が不可能になってしまうという事。
姿を見せずに、この部屋から脱出しつつもライターは回収する。

なかなかに、不可能。
不可能だが、二人はやり遂げなばならない。


「でも、康一お兄ちゃんは、なんでジョルノ君を追いかけてるの……?」

「………」

そういって由紀がジョルノを見ると、すごい勢いで目をそらされた。
目をそらされた上に、その問いに対する回答は一切ない。


「ジョルノ君……その反応だと何かしたんだよね」

「決めつけるのはよくないよ、由紀」

「いや、もう態度がすべてを表してるから!一体何を「うわあぁぁッ!?」


ジョルノを問い詰めていたところで、康一の驚いた声。
何事かと思い両者共に部屋の中を見る。


「な、なんで、寮に犬ッ!?」


「あ」


そう、ジョルノがライターを置き忘れて、由紀もライターを置き忘れた。
由紀のライターのありかはどこか

それはもちろん、小型化したソードの中だ。康一は勿論スタンド使い、ソードは見える。
スタンド使いから見ても狼に見えるソードなのだから、現在の大きさだとそれは犬に見えるだろう。

「って、く、くすぐったい!そんなに飛び付かないでくれよ!」

知っている者、そのためソードは康一に好意的にすりよった。
それに驚いて、康一はライターの立ててあるパンを持ったまま驚く。
それがチャンスとなった。


「今だッ」


そのすきにさっと窓から二人は出て、ジョルノはライターだけ取って、由紀はそのままドアを開けて外に出る。

その間約1秒である、とは言いすぎであるが、すさまじく迅速な行動であった。

「な、なんかどっかで見たことある犬だなァ……あれ?たしか、ライターが…おかしいな」


付いてきていないところ、康一は二人に気付かなかったようだ。



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