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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
aureo esperienza
「麻薬をやりたい奴がやるのは勝手だ、個人の自由ってものがあるし死にたい奴が自分の死に方を決めるのだって自由だ。
だがしかし!この街には子供に麻薬を売るやつが居てそんな奴は許さない
……とあんたはそう思っている。」
この二人の関係性は全くわかってない。
ジョルノ君がどんな人なのかってことだって全くわかってないどころかここがどこでいつの年代なのかもわかっていない。
ただ、ギャング。ジョルノ君の口からはギャングというワードが出ていた。
それを考えると目の前の男の人はギャング。
ギャング、麻薬、無差別故に許せない……ひとつ、思いつくものがある。
もし、そうだとしたら、今が何年かによって私にはする事がある。
「そして、彼に麻薬を売っているのはあんたのとこの『ボス』だ。そこにあんたは『矛盾』を感じている。
だからあんたは彼の腕を見て心を痛めていた。」
「……だとしたらどうだと言うんだ」
完全にゴールド・エクスペリエンスに叩かれたことによる何かが無くなったからか、彼は立ち上がり、ジョルノ君に自分のスタンドをたたきこめる距離に詰めよる。
「その事とおまえを始末することは別だ……。
俺は「ルカをやった犯人を突き止め……始末する事を命令されている」
おまえが勝手に攻撃をやめたからと言って俺がお前を殺すってことには変わりはないんだぜッ!」
「いいや、あんたはもう僕を殺したりはしませんね。
なぜならあんたは僕の仲間になるからだ。
僕はあんたのボスを倒してこの街を乗っ取るつもりでいる。」
「何だってッ!!」
それは、完全な宣戦布告。
彼の上に立つ者、ギャングのボスを倒す。
自身のボスに不満を抱いている、だからこそできた提案。
「子供に麻薬を流すようなギャングを消し去るには、自らギャングにならなくちゃあいけないってことさ。
それにはまず、あんたらの組織に入団しなくちゃあならない。つまり、それはあんたと仲間になるってことだ。」
あまりにも急展開だ。
私、花京院由紀は現在の状況が本当に読み込めないでいる。
ここまでに起きた出来事を思い出す。
この男の人の組織がパッショーネなのかは知らないけれど、そのパッショーネの人に
殺されかけて、今までお世話になった人がみんな未来で死んでいて、そんな過去を変えるためにまた過去に戻って
戻ったかと思ったら上空から始まってジョルノ君に助けられて、ギャングとの戦いを見て。
あまりにも濃い。濃密すぎる一日。
「あ、あの!」
多分この二人の意識の範囲外になっているだろう。
それでも聞きたい事が有って私は声をかけた。
ジョルノ君ではなく、ギャングだという男の人に。
「お前は……、確か無関係の人間だったな。スタンド使いだが。」
「貴方の組織って、パッショーネで合ってますか?」
「……そうだが、どうした?お前は無関係なのだろう、脅したり始末するつもりはない。家に帰って「私も、入団させてください!」
本当にパッショーネだった。かなり大きい組織みたいだから、もしかしたらと思っていたけれど、これは嬉しい偶然だ。
「由紀…?何を言ってるんだ、急に」
「何故だ?年端もいかない少女が組織に入りたいだなんていうもんじゃあないぜ……
もし、流されていたり、その時の気の迷いなら」
「違います。……今って、何年ですか」
ジョルノ君も男の人も怪訝そうな顔で私を見る。
何年か、という質問でさらに
「2001年、4月だ。」
2001年という言葉に、驚きを隠せない。
丁度だ。
丁度、あの人たちが、組織を裏切って
四月ならまだ間に合う。あの時の映像に雪のようなものが写りこんでいた事はない。
まだきっと日はある。
「私、絶対に組織に入ります。理由は言えません。ジョルノ君みたいな夢があるわけでもありません。
でも、組織に入ってしないといけない事があるんです。」
「………」
もし、もし皆と再開できたとして。
その時組織を裏切るとして
その時、きっとこの二人とは敵対してしまうだろう。
けれど、
まだ未来は決まったことじゃあない。もし私が動けばこの人たちだって協力してくれるかもしれない。
子供に麻薬を売りつけるボスに反感をもつような人たちなんだから。
『本来存在していない貴方が過去にどんな影響を及ぼすか』
そう、本来ない駒があるだけで大局は変わる。
「少し、場所を変えよう。」
※
彼の提案で、先ほどの場所からは相当離れた場所に来た。
たしかに、先ほどの場所には子供が倒れていた事もあって面倒事になりかねないということもある。
歩いて行くうちに、海の見える道。
「……もう一度聞く!本気で俺たちの組織に入団するというんだな?」
「ええ……!この街を乗っ取るには街を支配する組織に入ってのし上がっていくしかない。
僕は『ギャング・スター』になります!」
「私には組織に入ってやらないといけないことがある。そのためには、その為には組織に入らなくちゃ何もできないんです」
子供たちがサッカーをしている。
イタリアといえばサッカーは連想するのにたやすい。
平和な風景。ギャングとか、そう言う血なまぐさい事とかが嘘みたいに思える。
ボールを強く蹴る音。
「あっ」
ふっとみていたサッカーの光景。
その子供たちの蹴ったボールが男の人の背中に直撃する。
男の人は飛んできたボールの方、子供たちを見る。
子供たちは、まずいっと言った感じにおろおろしながら彼を見ていた。
そんな様子を一瞥して、彼は子供たちにボールを蹴り返した。
その時の表情が、とても、和やかだった。
やっぱりこの人は、いい人じゃないかって。
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