-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

aureo esperienza



地に落ちた蠅が、歯に変わる。

「あ、あの君は一体「ジョルノ・ジョバァーナ……お前の能力、相当侮ってはいかん能力らしい……『姿』を隠す事が出来ないというなら仕方がない……
――殴られるかも――という危険を冒すことになるが、今この場でやるしかないってことのようだな……」

今の攻撃、ジョルノといわれていた彼の能力に寄る何らかのダメージは彼を倒すには至らなかったようで、起きあがった彼が言う。
ジョルノ、ジョバァーナ、なぜだろう、外国人の知り合いにそんな名前の人はいない。それなのに、どこかで聞いた事のある響な気がしてならない。

「ところで、そのスタンド使いは何者だ、共犯者か?どちらにせよ、ここにいる時点でしかるべき処置はとらせてもらうがな」

「いいや、たった今そこで会った。
……由紀まで巻き込むというなら、あんたを逃がすことはますますできなくなった。」

「えっ…!?」

いま、なんといった、彼は。
由紀、そう確かに今彼は私の名前を言った。

私と彼に面識はない。面識がなければ自己紹介だってしてない。

……たしかに、面識は、いや、でも誰かに似ている気がしてならない。

「そうか、無関係か」

ジョルノ君の言葉に驚き戸惑っていた時だった。


「由紀ッ!!避けるんだ」

気づけば体が前に倒れこむ。
ソードが反応できないくらいに早かった。
足には力が入らない。よく見なくたって足があり得ない方向に曲がっているってわかる。
痛くもなんともない、だからこそどうしようもなかった。


「まずはジョルノ・ジョバァーナ、お前を始末することが優先だ。
さあ、どちらが先にこぶしをたたきこむかの勝負だ。来いよジョルノ・ジョバァーナ」


そう言って彼はジョルノ君に近づいていく。
こういった感じならば、きっとスタンドは近距離パワー型。
ジョルノ君のスタンドがどんなものかはまだわかっていないけれど、行動が封じられている以上見守る事しか出来ない。

「ゴールド・エクスペリエンス!!」

多分それはジョルノ君のスタンドの名前だろう。
敵が近付き、間合いを測ってそれは繰り出された。

先にこぶしをたたきこんだのはジョルノ君のスタンド。
きっとあの見た目からすると近距離型。
その攻撃は腕に当たった。

少しの間、そして、男はにやりと笑ったかと思うと、ジョルノ君がバラバラにされていた。
ほんの一瞬、とんでもない早さでとりつけられたジッパー。その速さは私が見たスタンドの中では完全に近距離パワー型のもの。
それを使いこなしているということは間違いなく、この人は、強い。

先にこぶしをたたきこんだのは、ジョルノ君だったのに。

「ジョルノ君!!」


私の足についているジッパーはいまだにそのまま。
ジョルノ君も先制できていたのにこの状況に驚いている。

「『自分のこぶしのほうが先に入ったのに』…なぜ?
お前がそう思うのも無理はない。」

そう言ったと同時に、男はスーツの片腕を脱ぐ。
そこにあった腕、さっきジョルノ君がスタンドで叩きこんだ部分は、ジッパーがついていた。
この能力……まさか


「これは俺の「腕」ではない。俺の『スティッキィ・フィンガーズ』の能力はジッパーのところで別の物同士を接続する事が出来る。
これはさっき体内に隠れさせてもらったあそこの『ガキの腕』だ……
俺のと取り換えてくっつけといたんだ。お前の能力に殴られるかも…という危険を出来るだけなくしたいというのは当然の欲求だからな。」

この警戒のしよう、ジョルノ君のスタンドで殴られるというのは相当な危険があるってことみたいだ。
でもそれは、本当に本人の体に叩き込まないと意味がないわけで……

「だからお前の『ゴールド・エクスペリエンス』がきかないのだ」

ジョルノ君のゴールドエクスペリエンスを一度防ぎ、今はもう打ち込んでこないようにした。
絶体絶命。

彼は、仮の腕をはずし、その腕に視線を落とした。
その視線に、私は彼は本当に悪い人なのではないんじゃあないかと思った。

だって、その腕は


「始末させてもらうぞッ!ジョルノ・ジョバァーナッ!!」


一瞬の間

何かを引きちぎろうとする嫌な音と、ジョルノ君のうめき声。

「「!!」」

その行動に驚いたのは、私とその人だった。

ジョルノ君は

「ゴールド・エクスペリエンス!!」

自分の腕を引きちぎって、スタンドの射程を延ばしていた。

勿論その攻撃は、相手自身の取り換えた場所ではまずない顔に直撃する。


「なんて事を……自分の腕を引きちぎって……」


その驚きは、こちらも同じだ。
こんな、無茶な事。


殴った瞬間、相手は時が止まったかのように動かない。

何が起きているのかは分からないけれど、これがジョルノ君の能力。


「由紀、その足以外は何ともないか?」


「う、うん。」


とどめを刺さないのか。
私に声をかけて、先ほどの倒れている男の子の方に足を進める。

射程の範囲外、先ほどの男の戦意喪失からかジョルノ君に付いたジッパーは解除されている。
ジョルノ君は、その男の子から手帳のようなものを拝借していた。


「何をやっているジョルノ・ジョバァーナ、なぜ俺への攻撃をやめる!何故とどめを刺さない!」


気がつけば、私の足のジッパーも解除されている。
気持ちの悪い感覚がなくなり立ち上がる。

ジョルノ君は、彼の質問に少し考えてから

「あんたがいい人だからかな、ギャングだけどイイ人だ……
あんたは今僕への攻撃を一瞬ためらったからあんたへの攻撃もやめることにしたんだ。
あんたは、自分から外したこの少年の腕を見た時
この腕の以上に気付いてショックをいけて一瞬攻撃をやめた……。ですよね?」


視線が先ほどの腕に集まる。

血管が浮き出、注射跡がいくつもある。

一瞬で、麻薬中毒者とわかる腕。

確かにそれをみて、彼はショックを受けていた。
こんな子供が麻薬中毒なんかになっている事に。


「彼は一体いくつだろう?
13歳…この生徒手帳でわかる。あんたがショックをいけた一瞬の時間があったからこそ僕は「ゴールド・エクスペリエンス」をたたきこむ事が出来た。
あんたがショックを感じずためらわない人なら僕は今頃バラバラになって地面に散らばっていた。
だから攻撃するのはやめにしたんです。」


ジョルノ君は人をよく観察している。
あの局面にいて、随分と場馴れしているような気すらする。
少し怖くすら思ってしまう。




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