-->
私にとっては過去の出来事だ | ナノ
aureo esperienza
ここで問題。
数学のテストでいえば二枚目の一番最後にある応用の中の応用だ。
まず私が居るのが空中だとする。
もうこの時点でどうしようもない状況です。
はい、問題終了。
「いやああああああああああああああっ!!!」
問題は終了していない。
最悪の事態にならないように考えている。
最悪の事態というのは下に人が居て、その人にぶつかってその人が大怪我する事だ。
下を確認する。
とりあえず、頭から落ちなければきっと死にはしない。
死にはしない。慢心だとしても死にはしないと信じる。
慢心せずしてなにがスタンド使いか。
そんな慢心よりも浮遊感が気持ち悪い。
そしてこの間きっとまだ2秒にも満たない。
とりあえず、足から頑張って着地するとして最初に聞こえるのはきっと自分の骨が砕ける音。
いきなり着て早々に骨折とはどんな料簡なのかあの管理者は。
万能じゃないにも程がありすぎる。もしまた会うならドジっ子管理者と呼んでやろう。
さて、覚悟はできた。
地面にたたきつけられようと思っていると、ガサ、と着地した。
思ったよりいたくなかった。いや、当ったのは地面ではなかった。
「あ、れ?木?」
落ちるときに下を見たけれど、そこに木なんか確かになかった。
なかったのに、確かに私は木の上に居る。
「なんで、こんなときに空から……ッ」
状況を理解するためにも下を見ると、不思議そうに私の方を見る人たちと、金髪の少年が走っていくのが見えた。
今聞こえた声は、どこか聞き覚えのある声だった。
どこで聞いたのかは思い出せないけれど、今はそんな事はどうでもいい、重要なことじゃあない。
とにもかくにも、あの人が助けてくれたのなら、お礼をしなきゃあいけない。
何か急いでいるのなら、何か手伝いができるはず。
それに、今がきちんとあの時のイタリアなのか確認しなきゃあいけない。
たとえ誤差があったとしても+-2年以内。それいないじゃあないと私がここに変えてきた意味がないのだから。
「ソード!」
スタンドに乗って、GOと指令を出せば風を切ってソードは走り出す。
人のスピードなんて高が知れたもの。スグに追いつく。
「あの、どうかしたの?」
並走して、問いかける。
「……ッ!他のスタンド使いッ!!」
走る足は止めず、一瞬こちらを見てぎょっとした様子を見せるけれど、スグに立ち直りこちらも見ずに話を進める。
「あんたは敵か?味方か?僕にとって」
「……助けてくれたから、味方?」
この様子を見て驚きがこの程度となるとスタンド使い。
こちらがスタンドを介し話すとわかると、向こうもそうしてくれるために話は通じる。
幸先がいい。
こちらの敵意がないことが分かると、
「目の前を走っている男を追っている、手伝ってくれないか?」
と協力を仰いでくる。
目の前の男とは誰か、そう思いきちんと前方を確認すると走りながら一瞬こちらを見た白いスーツの男が目に入る。
この二人にどんな因縁があるのかは分からないけれど
「わかった、捕まえればいいんだね?」
とりあえずは、この人に協力しよう。
話はそのあとで聞こう。
それにしても、本当にどの時代どの場所でも、スタンド使いは引かれ合う。
前を走る人物も、スタンド使いなのか
そんな事を考えて、あと少しで攻撃の範囲に入るところだった。
「!!」
こちらを向き、迎撃態勢に入ったかと思いきや、消えてしまった。
一瞬スタンドが見えた。そして、人々にぶつかった。
地面には穴も何もない。一瞬で隠れられるような物陰だってない。
大体、そんな時間だってなかった。
「ッ!!あのジッパー人間の中にもッ……!!」
そんな距離もなく、時間もなく事が起きたために少年が追いついて私の隣で呟く。
「それって一体……」
「奴の能力だ。全てを話している暇はないんだ、とりあえず着ぐるみのように人の中に入っていると考えてくれればいい。」
「う、うん……だとしたら、どうやって」
どうやって探すのか。
人の中にどのように入り込んでいるかは分からないけれど、あの人の臭いは流石にソードも憶えてないだろうし、他の臭いに邪魔される事を考えると自分のスタンドではどうしようもない。
この四人の中の、誰に
そう思い、どうするのか聞こうとしたところで静かにしろと合図される。
そして、指をさされる。指をさした方向にいたのは一匹の蠅。
あの蠅に何があるのか。
蠅は人の周りを飛んでいく。それに意味があるとは思えない。
少年がそれをじっと見ているので、私も同様に見た。
早く探さないといけないんじゃあ、そう思った時だった。
「うごおおおおああああああああ」
男の叫び。
先ほどの人々の一人、男の子が自分の周りに目ざわりに飛び続ける蠅に対して手で追い払った瞬間だった。
それと同時に、追い払った彼の体は倒れこみ、先ほどの男が出てきた。
倒れこむその人の背中には確かにジッパーがついていた。
「さっきへし折ったお前の歯に生命を与え蠅として生まれ変わらせた。
『蠅』はお前のところに帰っていき見分けがつくってわけだ。」
Prima _ prossimo
ritorno
Segnalibro
(56/71)