-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

さよなら



「なァティッツアーノ、もう一人いねえが、どうする?」

「問題ありません。最初に聞こえた声と今目の前に居る者の声は別者。たとえ逃げたとしても、ここに加勢したとしても何ら問題はない。ここはスデに君のホームグラウンドなのだから」

余裕といった感じに二人は話す。
長髪の男は、ティッツアーノというのか。
確かに、ソルベの能力はわからないけれど、この正体のわからないスタンドの前に出てきても今の状況は打破できそうにない。


「へえ、大体わかった……そっちの髪の短い方ッ、これはお前のスタンドだろ?ついでに言えば、発動条件は水ってところか?」

「…!勘か何か知らないが、よくわかったな。そうだ……だが知ったところでどうなる?」


水。
そうか、だから花瓶を。

けれど、本当に知ったところでどうにもならない。寧ろ状況はさらに絶望的になっただけだ。
このあたりに水の全くない場所なんてものはあまりない。
たとえここから逃げたとして、もし一番近いリビングに入ったとして、水道なんてあるキッチンに近い場所なのだから状況は最悪の物になる。


「……そうだ、か。その言葉が欲しかったんだよ。」

「?、何を言っている?」

本当に何を言っているのかわからない。
それを理解しているのは、それを言った張本人のジェラートだけだ。

「絶望的な状況に頭がおかしくなったかァ〜?とどめだッ!「その、水からスタンドを出すことを禁止する。」……!?」

次はどこから来るのか、警戒しようとした時に聞こえた声。
そして、現れないスタンド。


「あー、長髪の方だったら危なかった。逃げるよ、由紀」

「う、うん!」


手を引かれてリビングの方へ行くとそこにはソルベが居て、私たちが来るのを確認すると先導して走り出す。

『ッ!!なんだ、今のはスタンドが……ティッツアーノ!』

『問題ないですよ。ここまで、想定内だ。』

あの二人が来る前に、あの二人が来る前にキッチンの裏手から逃げるつもりなんだ。
とりあえず、逃げよう。こんな狭いところじゃ本当にあの人のホームグラウンドだ。


「外に出たらソードに乗って!きっとすぐに遠くに……」

問題ないのは、私のスタンドが車より早く走る事を知らないから。
玄関からの方が先回りできる。どちらにせよ追いつくことができる。
そんな慢心からだ。

そう思っていた私が、一番慢心していた事に気付いたのは、地面がぬかるみそのまま地に落ちる感覚がして、視界がブラックアウトしたその時だった。





「ほら、ここから逃げることくらい予想済みなんですよ。」

ぬかるむ地面。底なし沼のように足はとられ、動けない。
スタンドすらも意味がない。ソードすらもどんどんと沈んでいく。

先ほどのティッツアーノともう一人がこちらを見下している。
もはや打つ手段はない。
何もできない。


「……こいつらに手柄はとられたくなかったんだけどな」

「贅沢言わない。勝ちは勝ち、命令は遂行したのだから。」

「随分な言い様だな。」

人が歩いてくる音がする。
そこには、十字架の刺繍の入ったような服を着た男が、心底不服そうな顔で二人を見ていた。

「ゲ」

「そう機嫌を損ねるな。その三人は、お前の好きなように殺していいのだからな。」

どうやら、やり取りからするに二人とその男は仲が良くないというよりお互いを信頼していないみたいだ。

何より、好きに殺していいというワード。
私たちは、殺されてしまうんだろう。

「当たり前だ。でないとこんなところまで来ない。」

「相変わらず悪趣味だな……つか、あとはもういいだろ。帰ろうぜ」

「そうですね。後は任せましたよ、チョコラータ。」

「フン…。セッコ」


この男はチョコラータというらしい。
チョコラータがそう誰かの名前を呼ぶと、足にチクリとした痛みが走る。
痛みが走ってそう長くない時間で意識が遠のく。





目を覚ますと、血なまぐさい匂いがした。
起きたというのに、手も足も動かず、まだ夢の中なのかという感覚がある。
血なまぐさい、鉄のような香り。
天井しか目に入らないので、目だけを動かして横を見る。下を見る。

先ほどの、チョコラータという男が居た。
私の服はない。一糸まとわぬというやつだ。
一体何をするつもりなのか、どんな殺され方をするのか。

殺されるのは、いやだな。

「目を覚ましたか。麻酔はまだ効いているな?痛みがあると人間ってものはスグに死んでしまう。今回みたいに長く死を味あわせるには痛みが邪魔だ。さっきの男のようにたやすく死んでしまうからな。」


さっきの男というのは誰なんだろう。
ソルベか、ジェラートか。
あの二人は、私より先に殺されてしまったのか。

本当に、ダメだったんだ。

もしかしたら、誰かが助けてくれるんじゃあないか。
ギリギリギリギリのところでギアッチョが来てくれるんじゃあないかって心のどこかで思ってしまった。


私は、死ぬ時には絶対に後悔なんかしないって思っていたのに。


「それじゃあ、始めるぞ?簡単に死ぬなよ、できるだけ悲鳴を上げて死んでいけ」


ねえ、どうしよう、死にたくないんだ。
ギアッチョ、一緒に、出かけたかったんだ。

だからね、どうしても、今、死にたくないのに


メスが、私の体を開いて行った。




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