-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

ciliegio



「って、リーダーは?」


色々想像を膨らませながら、付いて行ってたら見失った。
見失ったといっても周りに姿はない。姿はなくて先ほどまでリーダーの進んでいた道を考えて……

「ソード、お願いします。」

スタンドに頼る。
尾行はどうかわかんないけれど、追跡能力に関しては結構自身はある。

ソードはバーの入口の前でとまる。

やっぱり、バーか。……大人の世界。


さっき考えていた、バーのマスターとか色々気になって中を見たくてたまらない。
窓はカーテンがされていて見えない。やっぱり閉店時間はとうに過ぎていて、今はギャング……チーム貸切というかリーダー貸切?

ちょっとだけ。
ドアにカギがかかっているという可能性もあるけれど、ちらっとすき間からみるくらいは……


「何をしている?花京院由紀」


「ひゃいっ!?……あ、リー…」


突然の後ろからの低い声。
ドアの取っ手に手をかけてすぐのことだった。

後ろを振り向けば、私よりも一回りは大きいか……黒い服の銀髪の人。

はい、リーダーリーダー。うそん。

「15分ぴったりだ。今は理由は聞いてやらない。帰るか?」

「え、ええ!?なんで?えっ!?」

「それはどの意味での驚きだ?尾行なら初めから気付いているし、イルーゾォに頼んでいたことから知っている。電話が来たからな。」



イルーゾォ……裏切ったな……。
いや、正しい判断だ。リーダーが知っていればまず間違ったことは起きないもの。


でも、最初から私はまな板の上の鯉だったってわけですか……。


リーダーの目は私の目をしっかりとらえる。
笑ってもいないし怒ってもいないその無表情が一番怖いわけであって。


「えっと、帰らなきゃ……ダメですか?」

「約束は守るものだろう?大体、何をしに来た」


はぁ、とため息をつかれる。
何をしに来たかと言われたら、好奇心だけでちょっと追いかけてみた。
が答えだからこれは特に理由のない尾行と言える。

好奇心で、と答えるとリーダーにこつんと額を小突かれた。

「痛い……」

「痛いじゃあない。さあ、帰るぞ。」

「バーは?」

「お前をアジトに送ったらもう一度来る。」

「えー……老紳士……」

「老紳士?…とりあえず帰るぞ」


リーダーに腕をひかれる。そんなに強い力じゃないからちょっと抵抗してみる。
リーダーが二度手間するのはちょっと心苦しい。せめて一人で帰らせてもらう事にしよう。


「店の入り口で何してんだい?あんたら」

「知ってる声がしてると思ったら…リゾットはいいとして何してんだよオメー…」

ちょっとそれに必死になっていたから、ドアが開いた事に気付かなかった。
片方は、よく知っている。ギアッチョの声だ。
女の人の声。言葉が通じる……ということは、スタンド使い?
そちらを見ると、やっぱりギアッチョと、その隣にアシンメトリーで短い茶髪に長い金髪のバーテンダーさんの恰好をした、お姉さんがいた。

身長は、二人とも同じくらい。ってことはこのお姉さん170以上あるのかな……すごい。


「店前で騒いで悪かった。今すぐ連れて帰る。」

「いや、別に居てもかまわないよ。例のお嬢ちゃんだろ?」


例の、というのは勿論私の事だろう。
つまり、この人の事は私は知らないけれど、もうこの人に私の話はされている。
相当この女の人は、信用できる人物ということか。

「えっと、来ちゃった?」

「来ちゃったじゃあねーよボケッ」

「痛い!」

それと、ギアッチョにも軽く小突かれた。


「とは言ってもだな……」

「今日は仕事の話は特にないし面白い情報もないからさ。二人ともとりあえず入りな?」

ニッとした笑顔をこちらに向けて手招きする。
それにしても、海外……いや、これはやめておこう。なんかメローネ見たいだ。


「……と、言うことだ。」

「やった!おじゃましまーす」


諦めたようにリーダーが言って店内に。
内装はカウンター席があってテーブル席が少し。
そんなに広くはない。けれど、木製のものが多くてなんか安心する。

今までギアッチョ以外は誰もいなかったみたいで、ギアッチョが座ってたと思われるカウンター席にまだ飲みかけのグラスが置かれている。

とりあえず、その席の隣に座る事にしよう。


「はじめまして、私はこのバールの店長のロゼッタ。ふふっ、老紳士じゃなくて悪いね」

「あ、いえ、ロゼッタさん美人なんで!美人だからなおよしです!!」

老紳士聞かれてた……って、何言ってるんだ私は!?美人だからなおよしってなに!?
口説いてんの?!


「あらあら、口説かれちゃったよ。サービスに由紀の分はタダにしとくね」

クスッと笑ってロゼッタさんはそんな事を言う。
え、いいの?タダって、えっ?


「で、リゾット、あんたは何にする?」

「アペロール スプリッツを」

「了解。あ、あんたからはちゃあんと料金取るからね。ギアッチョも。」

「別にかまわねーよ、そいつと違って金は持ってるからな。」


そうですね、私、日本円しか持ってないからアイスの一つも買えない女でしたよ。
為替、為替さえあれば私だって……



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