-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

intenzione



「ソード…っ!」


殺される前に、殺してしまえ。
生きたいのなら、殺してしまえ。
それが最善なら、それを最善だったと思う自分の意思で。

皮を破く音と、ゴリッと、骨をかむような音がした。
悲鳴を聞きながら私は妹に駆け寄った。
そして、それと同時に妹は自分のスタンド能力で、ソードに噛まれてもがくその人を撃った。


共同戦。二人で一人の人間を殺した。

もしかしたら、それは私が殺したんじゃあないかもしれない。
もしかしたら、それは私が殺したのかもしれない。

けれど、その死に関与したことは確かだった。





「それからも、そういう人が私たちを狙ってくることはあった。けどね、その時からもう生きるためなら、それは仕方ないと割り切れるようになっていた。」


「割り切ってって、そんなの……」

「普通に生きるなら、そんな必要もないけど、私たちはスタンド使いだよ」

スタンド使い同士は引き合う。
それは何の因果によるものか、なぜそうなるのかは分からない、けれども
どんなに普通に生きようとしても、平穏を求めても
スタンド使いは、善悪関係なくスタンド使いに出会ってしまう。

だからこそ、


「ペッシも、この仕事をやめたとしても絶対に殺さなければならない場面って言うのに遭遇すると思う」

「……分からないよ、おれは由紀みたいな考えできない」


ペッシの目を見てはなしても、目をそらされた。
それもそうだろう。きっと、私の話す事は理解の範疇に多分ない。
それが、少しだけ羨ましく思えた。

「分からなくてもいいよ、でもそんなことがあった時、ペッシは選択を……」

「選択を間違えない事なんて無理だよ、おれにそんな事」

「どんな選択をしても、その選択に後悔を持たないで」

「……え?」


その言葉が意外だったのか、ようやくペッシは私のほうを見る。


「自分の選択で死ぬ事よりも、自分の選択に後悔を持つほうがきっと辛いから」


例え、とある選択で生きながらえても後悔を背負っては生きていけない。
だからこそ、ここぞという選択に後悔を持つくらいなら死んだほうがマシ、そう私は思って生きてきた。


「だから、ここに来た事もここでどんな事があっても後悔はしないつもりでいるよ。」




「これはまた……結構ヘヴィな内容だったね、ソルベ」

「言ってる事がそれなりに尤もなだけにな…。」

「…………」

ここまで真面目に物考えてるやつだとは思ってなかった。
と、言うかそんな年齢でそんな風になれるかフツー。

だからこそ、オレについてきて礼を言って……

あんな奴、巻き込んだら

「なーにしてんだよッ!また珍しいメンバーで」

「ッ、なんだ、テメーかよ。」

一体だれかとそちらを見れば居たのはメローネだった。
別に話も終わったしどうでもいい。

「ちょっと三人で聞き耳してただけだよ。メローネ」

「なッ、別に俺は」

「ギアッチョが聞き耳したってことは由紀関連か。じゃああとはペッシか」

話を聞けよこいつ……ッ

つかなんでもう一人がペッシだって知ってやがる!?

「正解だ。なんでわかった?」

「だって逆のドアでプロシュートが同じことしてたからさ。」

あのジジィ……一体何がしてェんだよ。
どちらにせよこの場に居る意味もねえ。さっさと

「話が終わってるならいっか。じゃあおじゃましまーす」


ずらかろうと思ったと同時にこのアホは思いっきりドアを開けていた。





「由紀ー!そろそろ昼食だよ!リゾットが留守だから作ってよ!」

「「う、うわぁッ!?」」

メローネが突然リビングに入ってきたために、ペッシと二人同時に驚く。
そりゃあもう盛大に、バァーンって効果音つけたくなるくらいに盛大に入ってくるものだから驚くのは仕方ない。

「あれー?もしかしていい雰囲気だったりしたー?ペッシ、ギアッチョから略奪かい?」

略奪 #とは

どうにもここのチームの人たちは、最初の事もあってギアッチョと私がなんか良い仲だと思っているみたいだ。
大体私はお父さん以外眼中にないからそれはないし、勝手にそんな事言ったらギアッチョだって迷惑だろうに。

「ナイナイナイナイッ!!それにギアッチョを敵に回すなんて無理だって!!」

すごく否定するペッシ。それもそうだ、わけのわからない事言われたらそれは困るだろう。

「略奪上等くらいのこと言えねーのか?ペッシよォ」

「そんなの無理だって……って兄貴ィッ!?」


そちらを見ると、いつの間にか兄貴がいた。
この感じだと、怒りはしてもやっぱり見捨てたり嫌ったりはしていないようだ。

指導者としてはやっぱり、凄いと思う。この人。


「まぁ良い。いつまでドアの前で突っ立ってるつもりだ?ギアッチョ」

「ッ!?……ってあいつらどこいきやがった」


ああ、ギアッチョもいたんだ。
こんなに人が集まっているっていうことは……もしかして、みんな腹ペコ?

リーダーがいなくて、メローネが作れというなら私が作るべきなんだよね?


「あああ、みんなおなかすいてたんだね!ごめんなさい」

「いいよいいよー。由紀が作ってくれんなら」

「そうだな、早めに多めに頼む。ペッシ、おめーも手伝え。」

「わかったよ兄貴!」

「あ、ギアッチョは手伝わせないでくれよー由紀。確実にまずくなるから」

「アァ?どういう意味だメローネ」


……すごく平和だなー。
昼食は何にしよう。とりあえず冷蔵庫の中身と相談でいいか。

そんな事を考えながらキッチンに向かう。

「由紀、さっきの話……最後に一個だけ聞いていい?」

「いいよ」

「由紀の妹は…今はどうしてるんだ?」


そういえば、私は身寄りが一切いない事になっているんだった。
またそう言う事を何にも考えないで話してしまった。


「生きてるよ。離れ離れだけどね」

「……そっか!」


少し、嬉しそうなペッシの声を聞いて冷蔵庫を開けた。

嘘ばかりじゃ、疲れるからね。
司、きっと今の日本だったら子供だけど……すごく会いたいな。

ちょっとだけ、ホームシック気味になった気がする。



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