-->私にとっては過去の出来事だ | ナノ

Cucinando



「お前、やることがなかなか最低だな。」

「そういうイルーゾォは他人の不幸で何とやらだろ?」


由紀の悲鳴が聞こえたリビングは、いたって落ち着いていた。
計算通りとにやつくメローネ、それを呆れ顔で見るイルーゾォ。

そしてすぐに、こちらに向かってくる足音。


「メローネェエエエエッ!テメー知っててやったのかッ!?」

リビングに入るなり怒声を発してメローネに掴み掛るギアッチョ。
メローネは全く悪びれない様子で

「14歳のgiapponeseにしては良いカラダしてたろ?上から82の60の89」


とわざわざスリーサイズを添え、笑みさえ浮かべて言う。
そんな二人のやり取りに、こちらに流れ弾が当たってはまずいとイルーゾォは退避を始める。


「そんなこと聞いてねえよッ!つかなんでンなこと知ってんだテメー!?」

「そりゃあ、つい昨日触って確かめたし」

「何触ってんだこのボケッ!」

「えー、別に触ったってギアッチョには関係ないだろー?で、見た感想は?わざわざ譲ったんだぜ?」


感想も何も、
思った以上に細かったし日本人にしては白かったし、
たしかに言われた通りのスリーサイズくらいだったと……
と、そこまで考えてハッと我に返る。


「力が緩まったぜ?その様子じゃあガッツリ見たようで」


そんな思案を巡らせたギアッチョを見てニヤニヤとしながらメローネは言った。
ギアッチョは一回殴ろうかと思うもやめ、そのまま突き放す。
なぜ、つかむのをやめたかといえば

「……おはよう、二人とも」

暗い顔して由紀がリビングに入ってきたからである。
昨日拝借してきたという服の上に相変わらずの緑のコート。
服はまた薄緑のワンピースと見事な緑統一である。

「Buongiorno!由紀、ひどい目にあったみたいだねー!」

どの口が言うか、そんな気持ちを込めてメローネを睨んでまた由紀を見る。
由紀はといえば、ギアッチョとは目も合わせようとせず、と、いうより目が泳いでいる。

「さ、さっきは悪かったな。」

「いや、あの、鍵かけなかった私も悪いから…」

洗面所に鍵があったことにあの後気づき、由紀にも罪悪感が芽生えていた。
二人して謝る様を見てまた面白そうにしているメローネ。

どうやらここまで完全にメローネのシナリオ通りのようだ。
そのことにもし、ギアッチョが気づこうものなら確実に殴っていたであろうが、
現在まだ混乱状態から立ち直れていないこともあり気づくことはなかった。

由紀はこのことはお互い様だったと、早く忘れるように努め、まずは先ほど言われたテーブルにある朝食をとろうとテーブルを見た。

ない。
なにもない。


「あ、れ?あの、私の朝食知らない?」

「オレはついさっきリビングに来たからしらねぇーな。」

ギアッチョが知らないとなると、メローネはどうだろうか。
期待を込めてみると

「朝食?冷蔵庫とかじゃあないのか?」

と、こちらも知らない風に返される。
とはいっても確かにリゾットは朝食はテーブルに出しておいたと言っていた。
嘘をつくはずがない。


「リーダーはテーブルに出してあるって言ってたけど…」

「テーブルに……あ、もしかして」


それを聞いてメローネは何か思い出したかのように言う。
しかし、その表情から到底いい話だとは思えない。

「なんだよ、知ってんならさっさと言え。」

少し考えるメローネにギアッチョが言う。

メローネは一人で、ああそんなこともあったと過去の出来事を思い出すように一人でつぶやくと、

「いやあ、話すと長くなるんだけどさー」

と、話を始めた。





その日は任務もないというのにさっさと起き、朝食を食べていたメローネ。
情報誌を横目にと少々行儀の悪いことをしている。

「メローネ、そこにあるのは由紀のだ。間違って食べないよう頼む。」

「んー、了解。」

まともに聞かず、リゾットの言葉を生返事で返すと、リゾットはまた自室に戻ったようだ。
それから、20分ほどか、それほどもなかったか、ばらばらとチーム員が各々朝食を食べに来た。
そんなとき


「おい、メローネ余ってんじゃあねーか。作りすぎか?」

「えー、余ってんならもらおっかなー?」

何も事情を知らない暗殺チーム内の大食いコンビ、プロシュートとジェラートが目を付けた。

本来ならば、それを言われたらこれは由紀の分であることを言わなければならなかったのだが

「あー、うん」

雑誌を見ながらぐでぐでと食事をしていたメローネは、完全にどうでもよさげに適当に答えていた。

そんな適当な答えをしたがために、本来由紀の朝食であった食事は見事二人に分割されて食べられてしまったのだった。


「テメーらまだ食ってんのかよ、これから仕事じゃあねーのか?」

そして、ギアッチョが朝食を食べにリビングに来た。





「って感じかな?」

もしかして俺のせいかな?てへぺろ☆とでも言わんばかりにメローネには悪気がない。

「どこがなげぇ話なんだッ!?テメーが適当な事してこいつの朝食がなくなっただけじゃあねーか!!」

ギアッチョの言うとおり、全く長くない話の上、ほぼメローネのせいといっても仕方ない内容だった。


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