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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Mattina
「リーダーさん料理うまっ!!」
パスタやサラダ、日本人的には朝食としては多すぎるかもしれないが、昨日から何も食べていない由紀としてはありがたいことであった。
その前に、完成度だ。自作、それどころか男が作ったものだろうかと思う出来。
((お母さんよりうまいかも……))
自分の母が料理下手、というわけでは決してない。寧ろうまい方だとも由紀は思っているが、これは何か違うのだ。職業とのギャップ、見た目とのギャップ、性別のギャップ、
「……普通、だと思うが」
「これ普通ですか!?」
「あぁ、この後ドルチェもあるぞ」
「デザート付ですか!?」
さらにデザート付。
ギャングのチームリーダーに朝食を作ってもらった上に、デザートまでついていたなんて、誰がこんな話を信じるだろうか。
きっと誰も信じることなんてないだろう。そんなことになっている由紀も信じられないくらいの出来事なのだから。
「りーぞーっと、俺の分はー?」
「掃除もしないで寝ていた上に由紀にあんなことをしたお前に俺が朝食を作ると思うか?」
冷たく言うと、メローネは次の標的に近づく。
「由紀ー、一口頂戴?」
「拒否。」
「良く言った。」
先程のことと、リゾットに言われてもあってか答えは即答であった。
かといって、メローネは嫌そうな顔をするわけでもなく、寧ろ面白そうに由紀を見た後
「由紀がリゾットのせいで冷たくなったー!!」
と言っていた。
それを見て、あたりまえだろと呟くイルーゾォ。
由紀は朝食を黙々食べていた。
「由紀」
「ん?なんですか、リーダーさん」
「そっちにはやらなくていいのか?」
そう言ってリゾットが指差したのは彼女のスタンドだった。
先程からじぃーっと、食事風景を見ている。
「いや、普通に考えてスタンドに食事なんていらないだろ」
それを聞いてイルーゾォが言う。
「その発言頂けないな、俺のスタンド否定?」
「お前のは最初だけだろ。」
それに対してメローネが返すが、今の会話を聞き、由紀の中ではこの二人のスタンドは何なんだろうというさらなる想像がめぐる。
「一応、食べますよ。」
「食べるのか。」
「と言っても、必ずしも食べなきゃいけないという意味でもないし大丈夫です。」
食事を元にして生成されているスタンドというわけではないので、彼女はスタンドの食事を否定する。それに、人がせっかく、それもこんな風に初めて作ってくれたモノを食べさせるのはいかがなものかと思ったのだ。
「………」
リゾットはじっとソードを見る。
ソードもリゾットをじっと見る。
それはとてもシュールな光景である。
「食うか?」
そう言ってリゾットはソードにドルチェのカンノーロをソードに見せると、ソードはリゾットに近寄る。
別に本物の動物のように与えてはいけないものがあるわけでもないので由紀は特にリゾットを止めることなく好意を素直に受け取ることにした。
おいしそうに食べるソードを横目に、由紀は朝食を食べながら考える。いまいちギャングと結びつかないこの集団について。
リゾットは確かに最初にあったときはとても恐ろしいものを感じた。それなのに、今はそこまででもない。
「どうした、人の顔をじろじろ見て」
「リーダーさん、お父さんみたいだなって」
「お父……っ」
お父さんみたいという言葉でリゾットの顔はひきつる。
しかし由紀はそんなリゾットに気づかず食事を続け、それを見ていたイルーゾォとメローネは笑うのを必至にこらえていた。
一応、由紀はリゾットの年齢を知っているわけではないので年齢の話ではなく本当に感覚的なことを言っただけで、彼女に悪意はない。
しかし、多少気にしていたことであったのでリゾットも思うところがあったようだ。
「「お父……っ!!」」
「お前ら、後で俺の部屋に来い。」
「?」
笑いをこらえていた二人の顔が一気に真っ青になる。
リゾットはリゾットで嫌なオーラを放っている。
それに彼女は気づいていないようだが、なんとなく場の空気が重くなった。
(……これから、この人たちと生活していくのかあ)
帰れるかどうかは別として、何とかなりそうだなと彼女は心の中で思うのだった。
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