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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Mattina
二人の間に微妙な空気が流れつつも、二人は片付けを続ける。
シンクの使い方、洗剤の予備はどこにあるのか、スポンジが駄目になった場合は。
酒瓶の置く場所に酒瓶を置き、大体の片付けが済んだ。
「これからはようやく……掃除からは解放されるのか……」
「あの、リーダーさんはなんでお掃除なんてしてたんですか?」
リーダーともなれば、もっと違うことをしそうだ。他の人にやらせたり、と由紀は思いながらリゾットに質問した。
「誰もやらないからだ。」
「さ、さいですか。」
それ以上は聞くなオーラが漂っており、由紀はそれ以上詮索するのをやめた。
チームの一番上というものは、常に苦労の絶えない存在なのだろうなと納得しながら。
「ところでリーダーさん」
「どうした?」
お腹がすいた、というまえについにお腹がなってしまう。
「……ふっ、朝食にでもするか。」
「うぅ、お願いします。」
真っ赤になっている由紀を見てリゾットは笑みを浮かべると、キッチンに立つ。
「何か手伝いますかー?」
「いや、いい。」
そういえば、先日料理に毒を入れられては等と言われたことを思い出し由紀はしゅんとする。
それはそうだ、そんな一朝一夕に人に信頼してもらえるなんて思っていない。
それでも、いつかは信じてもらえたらいいなと、適当な席に着こうとした時であった。
「ひっ!?」
突然、後ろから羽交い締めにされたのだ。
何の気配も感じる暇もなく、突然。
「上から82!60!89のBッ!!」
ぎぎぎ、っとまるで後ろから剣でも背中につきたてられた人さながらの表情を浮かべながら由紀は後ろを見た。
抱きついて、突然3サイズを測定してくる輩の顔を見るために。
「Buon giorno〜!由紀14歳の東洋人にしてはいい体してるね〜」
「い」
「い?」
「いやあああああああああああッ!!!」
アジト内に、由紀の叫び声がこだました。
その様子を見てなお抱きつき、にやついているメローネ。
「ど、どうした」
何事かとキッチンから出てくるリゾット。
「ぅ……うるさ……――ってなにしてるんだよお前ッ!?」
あまりにうるさかったのか、寝ていたイルーゾォが抗議しようと思ったが、この状況を見て違う言葉が出てしまう。
「面白いことしてるときい……なにこれソルベ、公開処刑?」
「公開処刑はこれから始まるんじゃあないのか……。」
悲鳴が聞こえて大した時間もなく、何を嗅ぎつけてきたのかソルベとジェラートが現れる。
「んー、ベリッシモ良い悲鳴だ。こんな悲鳴を上げられる君の体調は良こ「ソードッ!Crunch!!」」
わなわなとふるえていた由紀が、叫んだことにより既に戦闘態勢に入っていたソードに指示を与え、ソードはメローネの頭に食らいついた。
とはいっても、命令通り噛み砕いてはおらず甘噛み程度であるが、いつでも頭を噛み砕く準備はできているようである。
「め、メロったァァァアアアアアッ!!!」
この状況になり、その場全員が言葉を失ったが、一番に叫んだのはイルーゾォだった。
どこかの魔法少女アニメもさながらに、首を持ってかれかけているメローネ。何も知らないスタンド使いがみれば、トラウマになりかねない情景だ。
こんな状況を作り出すにいたった理由の人物は、既にメローネから遠く距離を置いており、リゾットに大丈夫か?などと訊かれていた。
「色々触られた、あの一瞬で色々触られた、サイズまで出された……」
「あいつのあれはいつものことだ。気にするな」
「う、ぁ、」
思春期真っ盛りの少女にはあまりにもひどい出来事であった。
「……、傷心してるところ悪いが由紀、あれは生きているのか?」
「……多分、大丈夫です…。」
傷心の由紀、メローネをどうしたものかと慌てるイルーゾォ。完全に傍観を決め込んでいるソルベとジェラート。それらを見つつリゾットは聞く。
一応、悪いのはメローネなのだが死なれては困るという意味も兼ねてだ。
「死なれても困る、離してやってはくれないか?」
リゾットに言われ、ようやく立ち直ってきた由紀がソードに離すように命令すると口を離す。
首は、きちんとついている。しかし、甘噛みと言ってもスタンドのすること。
結構痛そうなことになっている。
「この仕打ち……ディ・モールト、ベネ……」
「メローネが死んだ!!」
「この人でなし!」
「いや勝手に殺すなよお前等!!」
ガクッ、とわざとらしい大げさな表現をするメローネに、息ぴったりにどこぞで聞いたことのある様なセリフを言うソルベとジェラート。その二人に律儀に突っ込むイルーゾォ。
「メローネさんって、体弱かったりします?」
「いや。寧ろ回復速度が恐ろしく高い。あと、そのさんづけは気持ち悪い。」
「じゃあ大丈夫か。……って、いや、気持ち悪いと言われても……」
「わざわざここの者にさんを付ける必要はない。」
確かに、さん付けはしなくてもいいと言われていたが、本当にいいのだろうかと由紀は思った。
しかし、確かにそんなにさん付けは海外ではしないようなと考えると、いいのかもしれないなどとも考え始める。
「気持ち悪いと言われないぐらいに頑張ってみますリーダーさん」
「そのリーダーさんというのも……」
「ところでリーダーさん料理中じゃあ……?」
「――ッ、そうだったな。すまない。」
まだ何かを火にかけているというわけでもなく、ただ食べることのできる時間が遠のくと言う状況。
まだ数名うるさいのだが、それもスルーし由紀は先程の事も忘れるように努めた。
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