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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Una squadra
正直、自分でも変なもん拾って来ちまったて言う自覚はある。
でっけぇ犬連れた、自称未来人のわけのわかんねージャポネーゼの女。
つか、こいつ俺と歳ほとんどかわんねーって嘘だろ。
「…っ!ぎーあーっちょー!」
「うるせぇッ!耳元で騒ぐな!!」
「だって呼んでるのに聞こえてないから。」
「……ンだよ?」
やっぱり、拾ってきたのは間違いだったかもしれねーって思っている。
大体、連れてきたのだってどーせ、誰一人としてこんな女に興味を持つと思ってなかったからだ。だのに、リゾットは切り札に使えるかもしれねーとか、プロシュートはペッシと同時並行に教育してーとか言い出すわ、わけわかんねえ。
未来から来たというのを100%信じたわけでもねーのに、未来に帰れるまではどうにかしてやろうと考えていた俺がすでにどうにかしているんだが。
「色々と、ありがとう。」
「……別に。感謝されるよーな事はしてないぜ」
むしろ、このチームに利用されること、それは恨まれたっておかしくねーと思う。
「充分感謝に値するよ!未来から来たとかわけのわからないこと言ってる人間を、命の保証してくれるところに連れてきてくれたんだから!」
「命の保証な。さっきも言ったけどな、おめー自分の置かれている状況っつーのがわかってんのか?」
「軟禁?」
「それもそーだが……さっきの集団は全員人殺しを何とも思わねー集団なんだぜ?」
何とも思わねーって言うのは嘘だ。他はしらねーが、少なくとも俺は仕事として割り切る程度に仕方なく人殺しをしている。あまり気分のいいものじゃあない。
だが、日常的に全員人殺しをしている集団だ。
「うーん。難しいから考えない。」
「はァ!?」
何言ってやがるこいつ。
さっき、殺し屋に狙われたのなんかいってったが、そう言うやつは普通、金で雇われて人を殺すやつを嫌うもんじゃあねーのか?
「だって、そう言うの考えだしたら微生物規模で話をはじめなきゃいけなくなるもん。人間だけが尊いのか、とかさ。だから、私は目の前の人間が私にどう接してくれたか、それだけで考える。だからギアッチョがたとえなんだろうと、私を助けてくれたことにかわりはないから嫌いじゃないし、感謝もしている。それでいいんじゃあないかな?」
………わけわかんねェ、本当に。
どういう事なんだよ。
「……そーかよ。」
「うん。そーだよ。」
人間っつーのはこんな年齢でそう言う割り切り方に至ることが出来んのか?
つか、やっぱり俺は、変なもんを拾った。
こんな話をしていれば、そう遠くない自分の部屋につく。
鍵を開けて、部屋に入ると由紀が失礼しますとか言いながら続けて入る。
「予想していた通りの綺麗な部屋だ!」
「散らかすなよ。…とりあえず色々あって疲れてんだろ、ベッドは勝手に使っていいから休んでろ。」
「あれ?ギアッチョは?」
「俺にも色々あるンだよ。いいから勝手に休んどけ。」
「はーい」
そう言って俺は部屋から出た。
監視も何も、こいつはこの部屋……このアジト内からはまず出ねーと思う。
部屋を出てから、ふと、あの時のことを考えた。
『お兄さん、私の帰る場所なかったみたいです。知り合いもいなくなりました』
この言葉と、あの表情だ。
全部なくなったみたいな顔して、どうしたらいいか分からないって顔して。
いつかの冬を思い出した。死ぬッくれェ寒いあの日。
あの時の俺を思い出して、放っておくことができなかった。
「ありがとう、か。」
やっぱり拾ってくるべきじゃあなかった。
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