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私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Una squadra
ここのチームの人が私に危害を加えることが無くなって、帰る方法も良くわからないけれど、こうなったら楽しむしかない。今居る状況を。
なら、スタンドはどんなものがいるのかとか考えるだけでわくわくしてしまう。
もし、司がここに居てそんなことを言えば『この能天気!』なんて怒られそうだ。
「こッ、この能天気がッ!!」
と、おもったらほぼ一言一句同じことをギアッチョに言われた。
「いや、だって私はある意味とんでもない状況に居るんだよ?マイナスに考えようと思えばどんどんとマイナスに考えられるけれど、そんなの考えていてもなにも良いことないし……なら、プラスに考えたほうが良いじゃん」
「プラス思考にもほどがあるわッ!」
「相当の信頼を得られない限り、スタンドを見ることはできないだろうな。」
「お前もお前で論点がずれてンぞッ!オイッ!」
相当の信頼……そうか、商売道具、切り札、そう言う感じのものだもんね。
杜王町のお兄ちゃん達みたいにそんなに簡単に見せてくれるものじゃあないか……。
でも、予想とかはしてみよう。あってたらぴったり賞とかもらえるかもしんない。
たとえば目の前にいるリーダーさんは……
承太郎さんみたいな、シンプルに強いスタンドとか?このチームの一番上の立場だし。
時止めたりできたり……なら、承太郎さんとかが気付いてるからな。
「で、リーダーさん、私はどんなことをすればいいんですか?」
お仕事の手伝い、とか?
それはそれで、いきなり暗殺ド素人にサポートすらも危ういのに巻き込むのは流石にどうかと思うけれど。
「家事は、できるか?」
「は、はぁ?」
「何言ってんだよお前……」
家事とかいう単語がこの怖そうな人から出てきたよ。
家事、家事って、火事じゃあなくて家事だよね?鍛冶でもないよね?
いや、ギアッチョの何言ってるんだよは私もものすごく同意だ。けれど目の前の人は
マジ
にこの質問を私にぶつけているのは確かだ。
「料理はダークマターを生成しない程度、洗濯は洗濯機があれば、掃除もできますが。裁縫も、洋裁とまで行かなければ」
「成程、充分だ。」
まあ、日常生活をする分には申し分ないだろう。
それはいい、十分とは何が言いたいんだ。いや、予想はついた。
嫌な感じに予想はついた。
「まさかと思うけどな……リゾットお前」
「心配するな、料理を作らせたりはしない。毒を盛る可能性があるからな。」
「そう言う問題じゃあねえよッ」
毒も何も、そんなものを日本人の一般中学生が持っているわけがなかろうというのはこの際いいとして、つまり、私がここでやれというのは
「もしかして、洗濯とか?」
「裁縫も、いや、掃除の方が重要だ。あいつらは散らかし放題散らかしていつも誰がリビングを片づけていると……」
「心中お察しします。はい。」
「いや、突っ込む点しかねーだろ」
女の人、居ないのかな。
いや、女の人が全員お掃除や料理やらしてくれるというのはある意味偏見だ。
でも、女の人、いないのかな。
とりあえず、私はあれ、家事手伝いみたいなのをしていればいいと。
そういうあれと。
「当分は洗濯と掃除をしていればいいということですね」
……全くと言っていいほどに、全くと言っていいほどに危険なことが無かった。
いや、これから会う人にこう、いかにもギャング、いかにも危険な人が居るかもしれない。
スイッチが入ったらいきなりキレる人とか、ものっすごいヤンデレな方とか、子供だろうが容赦せんとか、
……杜王町が大概だったことにたった今気付いた。
「もう、おめーらには突っ込まねえよ」
ギアッチョが呆れ顔で言っていた。
「そうときまれば由紀、まず必要なのは部屋だな。」
「オイ待てリゾット、部屋なんかねーぞ」
「満室ですか。」
満室。それはそれは。外観から見た時結構部屋数はあると思っていたけれど以外にも少ないのか。
それとも、人数が多いのか。
一部屋が大きいというのもあるけれど、三階建てだったはず。じゃあ人数が多い?
「軟禁するのだから、満室で問題はないだろう。一人部屋を与える気は毛頭ない。」
「成程、つまりリビングで寝てはいけないと」
「てめーら真顔で何言ってやがる」
リビングの床に寝ることは正直可能だと思う。
タオルケットと床で充分だと思う。
「待て、部屋を与えないとはいったが床で寝るな、次の日体が痛くなるぞ」
「そこじゃあねーだろッ」
「美少女軟禁24時というまるでAVのような企画ものと聞いて」
「どこから沸きやがった変態ッ!!」
ギアッチョが華麗なアッパーを決めた。
いやーこの人忙しそうだなー。なんて思っていたけれど、よく考えたらこのアッパー食らった人誰だ。
綺麗なストレートの金髪。顔は目元にマスク。服装は……服装は、この際黙っておこう。
本当にAVにありそうなタイトルを言った瞬間に、なりふり構わずぶん殴られたこの人もチームの人なんだろうか。
なにより、さっそく色ものが出てきたというのが私の第一印象だ。
「そいつはメローネ、残念ながらチームのメンバーの一人だ。」
「ディ・モールト良いアッパーだッ!それはいいとして、そこのジャポネーゼの女の子、俺の部屋に是非」
「てめーは黙ってろッ!」
綺麗に左ストレートが決まる。
さて、何から私は突っ込むべきなのか、
この人の残念なイケメン度か、この人の驚異的回復力か、この人はいつもこうなのか。
「残念ながらいつもこうだ。」
「そ、そうですか。」
心が読まれた!いや、これは誰もが抱く疑問というべきか。
何より、この空間。いきなりカオス空間と化してしまった。
「しょ〜がね〜な、メローネのやつ。」
「うわっ、どこから!?」
私が目の前の、デスクに居る微動だにしない黒服の無表情に、殴られて喜んでいる金髪のお兄さんに、キレているギアッチョにととてもカオスな物を見ていたら、いつの間にか横にオレンジの髪をしたお兄さんが居た。
本当に、音もなく。まさか、スタンド能力……
「ん?ま、気にすんな。」
「えー」
私が怪訝な顔してみていたのに気付いたのか、そう言ってごまかす。
流石、暗殺向きスタンドの集まり……ああ、どんな能力が居るのか気になって仕方ない。
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