-->
私にとっては過去の出来事だ | ナノ
Una squadra
リビングのような広い部屋に入るけれど、そこには誰もいない。
誰もいないのを見てギアッチョはホッとしていた。
ソードも反応していないところを見ると、ここにいきなり危険物があったりするようではない。
「都合良くリーダーしかいないようだな……」
リーダー?あだ名なのか、仕事仲間とかそういうのなのか。
リーダーってくらいだから偉い人?
じゃあ、ここではそのリーダーと言う人とかが住んでいるってことかな。それか大家さんみたいな感じとか。
「リーダー?」
「てめーをここに連れてきたのはリーダーと相談するためだ。」
「なにを?」
本当に何を?まさか、このままどこかに売り飛ばそうとする相談!?
いや、そういうお仕事だと決まったわけじゃあない。ギアッチョがスタンド使いってことはきっとそのリーダーもスタンド使いってこと
お仕事はスタンドを使えないとできないお仕事と考えると……
きゅ、求人?いやでも私中学生なんだけど。
「まずはてめーをどうするかってことだ。行き場もない、いかにも騙されそうなガキのうえにスタンド使い。そんなやつを野放しにすることはできねーからな。」
「あ、人身売買じゃなかった」
「まあリーダーの指示によってはそれもあるかもな。」
「えっ」
リーダー!?
冗談だよね、冗談だよね?
イタリアンジョークだよね?そうじゃなかったらここから私は全速力で逃げる。
私が恐怖心を持っているのを察知し、ソードが低いうなり声を発し警戒する。
「流石にそんな指示はされねェと思うが……」
リビングにだれもいないことを確認すると出て、階段を上がる。
そして、いくつか部屋のあるうち黒いドアの前に立つ。
人の気配。ここに、そのリーダーが居るんだろう。
「入るぜ、リーダー」
あ、ノックとかはしないんですか。
着くなり間髪いれずドアを開く。
リーダーとは一体どんな人なのか、全部嘘でいきなり銃を突きつけられたりするんだろうか、そんな想像もするひまなしにその部屋に居た椅子に座る人物と目が合う。
黒い頭巾に、黒い服。
よくわからない威圧感。
どう見ても、一般人じゃありません本当にありがとうございました。
「……なんのつもりだ?そのスタンド使いは」
貫くような目線。目をそらしたくなるけれど、なんか目をそらしたら負けな気がする。
「拾ってきた。」
「そんなことは聞いていない。どうして連れてきたかを聞いている。」
「……どこの組織にも属してねぇスタンド使いだ。そのうえスタンドを出しっぱなしにしてやがる。このままいけば最悪俺たちの脅威にもなりかねない。そういうわけでリーダーに処置を決めてもらいにつれて来た。」
「見たところ、近距離スピード型といったところか……。」
当てられた。まさかちらっと見てあてられるなんて思わなかった。
敵じゃないとは思っていても、異様な空気にソードは警戒をやめない。
本当に、これからいったい何があるっていうんだろう。
「なぜその場で始末しようと考えなかった」
ゾクッ、っという感覚が背筋を駆け抜ける。
始末、さすがにそんなことはないとは言われていたけれどやっぱりこの感覚は一般人じゃない。
ソードの警戒態勢がますます厳しくなる。
「こんなガキをいきなり始末する気にはなれねぇよ。それに、組織に属していないスタンド使い……十分に利用価値はあると思うぜ。」
「組織に属していないスタンド使い……か。確かに利用価値はあるかもしれないな」
さっきから出てくる組織っていうのはなんなんだろう。
別にここが杜王みたいにスタンド使いがたくさんいる街っていうわけでもないと思うけど……。
スタンド使いを集めて何らかのことをしているのはわかるけれど……
そんなこと考えていないでこれから私はどういう処断を取られるのかを気にしていたほうがいいのかな。
「名前は何という?」
「由紀、花京院由紀。」
「日本人か。だがここに連れてこられたということは、ただの観光客というわけじゃあないな?」
「は、はい。えと、飛行機を乗り間違えてイタリアに来てしまったんです」
「……ッ」
正直嘘をついた。
だっていきなり未来の日本から来ましたなんて誰が信じるのか。
ギアッチョは信じてくれた……?けれど、この人が信じるかどうかなんてわからない。それどころかさらに異質なものだと判断されてしまう。
確かに未来なんて不確定な情報を伝えるのもどうかと思ってか、ギアッチョは私の言葉に特にツッコミをいれなかった。
それはそれでありがたい。いつか見抜かれるかもしれない、けれど未来から来たという情報は必要なものではない。
こんな不用意な情報は今は語るべきじゃない。
「飛行機を乗り間違えて?」
「そうなんです。その上身寄りもなくて。本当は国内線で、日本の遠い施設に行く予定だったんですが……とりあえず、私は今ここで始末されようがどうされようが探してくれる人はいません。誰もイタリアに来ているなんて思ってもいませんから。」
施設っていうのは嘘だけれど、これくらいにしておかないとつじつまが合わない。身寄りがないということに関しては本当の話だし。
それに、いつ始末しても大丈夫だと思わせることでこの人たちの本質がわかる。
これで殺しにでもかかってくる者ならすぐに逃げる予定だ。
Prima _ prossimo
ritorno
Segnalibro
(8/71)