-->楽園探しの旅 | ナノ
星屑



街を歩くと、エミは多くの視線を浴びていた。


それもそのハズだ、真っ赤な<<衣装>> 真っ赤な<<洋靴>> 真っ赤な<<口紅>>

振り向かないやつのほうがどーかしてる。


「ふふふ、私の魅力にみんな釘付けってところね」


「魅力があろうがなかろうが、そんな真っ赤な奴が街を歩いていたら誰だって見るだろ……」


「おおっと、それは私に魅力がないと?」


エミは俺を見て、意地悪な笑みを浮かべて言った。

意外な言葉に面喰い、言葉が思いつかない。それを見てさらにエミは楽しそうにしていやがる。クソ。


「……その上、着ている本人が美人だからだろ」


「うぁ………本当に言うなんて……」


「言わせたのは誰だッ!この……」


きょとんとしていたエミに言おうとしたら、エミはいつの間にか赤面していた。


「嬉しいや、ありがとう」


そのうえこんなことを言う。



「……」


だから、なにも言えずそこから二人で黙っていた。

ばかみてぇだと本当に思いながらも、それが正直幸せだった。






「うわー真っ暗!夜になるのって早いねー」


この日は大体、エミのショッピングに付き合っていた。

空では星が綺麗に輝いている。それをエミは見て歩いていた。足元も見ず。


「綺麗な星空だね。」



つややかなため息を吐きながらエミがつぶやく。それが、俺にはとてもきれいに見えて


「オメーのほうがよっぽどきれいじゃねーか」


とつい言ってしまった。


「う……今の素で出した言葉?」


「……事実だろ」


「もう……まあ、嬉しいけどね!!ありがとう。」


夜空を見上げる恋人達、それはありふれた風景


繰り返される恋模様も、ほんの些細なこと


そんな気紛れなひと時を、永遠だと信じて、


そんな不確かなものを 運命だと信じた。



「あの星々はもう滅んでるのかな?
それとも今もまだ滅びに向かって輝き続けてるのかな?」

さっきの事を切り替えてか、エミは星を指差して言った。

突然そんなことを言うから、頭でも打ったのかと思った。


「急にそんなこと言い出して、どうした?」


「ちょっと、なによその頭のかわいそーな子を見る目は」

俺の目を見て、エミは少しイラついているような口調で言った。

とはいっても、急に変なこと言い出すんだからしょうがねぇだろーが。


「私ね、この時が永遠ならいいと思うの。ずっと、好きな人と居たい。いっそ屑でもいい、星になって輝き続けたい。」


そう言うと、エミは俺に抱きつく。なんで突然こんなことを言い出したかは分からないが、ずっと一緒に居たいという気持ちは同じで答えの代りに抱きしめ返した。





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