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楽園探しの旅 | ナノ
プロローグ
何が自分を狂わせたのか。
狂ってたのはどちらか。
「何故なんだァーッ!!」
悲しいほどに、手は届く事はない。
物語は過去にさかのぼる。
「ギアッチョー……もうさ、何度言ったかわかんないけどもう一回いうわよ。首を絞めるのはやめて!違う意味で逝きかねないから!!」
ベッドから出て、鏡を見ながらエミは抗議した。
窓からは、朝日が差し込んでいる。
そんな抗議を、聞きながらギアッチョは着替えていた。
「次からは気を付ける」
「何回目よ、それ。」
むくれながら、エミは言う。そしてやっぱり今日もタートルネックだ、と言い赤いタートルネックのワンピースを着る。
相変わらず派手な色と思いながらその横でギアッチョは白い普段着を着た。
「………」
「何だよ、じっと見て」
「そろそろ、赤、着る時期じゃない?」
「どんな時期だよそれはッ」
じぃっとギアッチョを見てエミがつぶやくと、それに突っ込みを入れた。
「だったらよぉ、オメーも白を着る時期なんじゃあないか?」
「あら、嫌よ。私貴方の物言わぬ 可愛いだけの着せ替え<<人形>>じゃないんだから」
「じゃあお前のさっきの言葉は何なんだよッ!」
「いや、まあ一回くらいお揃いもいいんじゃないかなと。」
二人は付き合っていると言えば付き合っているし、愛し合っていると言えば愛し合っている。
ただ、いつもお互いの色を押し付け合っていた。
彼女は赤、彼は白。
「大体、赤いスーツなんて着てみろ、どこかの三世じゃねーか」
「じゃあ、白いドレスなんか着たら私花嫁よ。」
「だれも、ドレスを着ろなんて言ってねぇだろ。」
「あら、私だって何もスーツを着ろだなんて言ってないわ。」
結局色は一つにならずいつも、この調子で二人は街へデートしにいった。
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