五部後、メローネ生存設定。

沙耶唄パロ










気味の悪いノイズが聞こえる。気味の悪い物質が街を闊歩し蠢き回る。
そんな世界を見るようになってそろそろ何カ月、何年、いや、もうそんなことはどうでもいい。
二回死に損なった命は相変わらず死ぬ様子もない。
神経毒、仮死状態、ああ、何と言われたかもう記憶にないけれど、ただ死なずにここに居るという事実がある。


「――――、―――…―――!!」

「……悪いけど、興味ない。」


耳を劈くようなノイズ。皿をフォークやスプーンでひっかいた音と、ハウリングしたような、音割れしたような音。そんな音なのに、これが何を言っているのかわかるのも気味が悪い。

もう慣れた。

今のは娼婦の客引きだ。皮のない、歪な肉の塊はこちらにその気が一切ないとわかると、悪態をつき、不快なノイズを残して這いずり去る。
人の声がどんなものだったか。それさえも忘れてしまうくらいにこの世界に沈んでいることを考えると、相変わらず生きている自分には虫唾が走る。

それでも、死んでいないのは、きっと此処が地獄よりも酷く、死に損なった自分にお似合いの場所なんだと思っているからだ。

はじめは、蠢き回り、這いずりまわる肉塊、腐臭の漂う空間、不快な雑音で満たされた世界に対し、吐き気と殺意と色々思うところはあったが。いや、いまだにそれを克服は出来ていないが、自分以外がこうだともうどうでもよくなった。

自分がおかしいのか、周りがおかしいのかももうわからない。


特に何をするわけでもなく、この世界でゆるゆる腐っていくしかない。



「お兄さん、なんでそんなにつらそうなの?」


ノイズの中で、人の声を聞いた。

女の子の、高い声。あどけなさの残る、気味の悪い音とは比べ物にならない、
いつか――いつのことかは忘れてしまった
綺麗――幻聴ではない。幻聴なんて聞けないくらいに自分はノイズに侵されていた。

「どうしたの?今度は驚いて」


綺麗な黒い髪、周りの気色の悪い風景にあまりにも似つかわしくない少女がそこには立っていた。





※メローネである必要性があまり感じられない。
※どうしようもない
※夢要素が薄い



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