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莉緒が居なくなって二週間。

そんな事どうでもいいとでも言うようにまわるまわる地球と進み続ける時間に、僕は置いていかれていた。


授業が終われば最後に君が残していったリボンを、屋上でぼーっと眺めているのが習慣になっている。



今の自分は、君が望んだ自分でないことはよくわかっている。最後まで友達でいたいと言っていた君だから。


君は違う世界の人間で
本来ここにいない人間

僕は君のおかげでここにいて
君曰く、新しい運命をたどっている

だからって、
君の知らない誰かと出会って

君の知らない誰かと恋をして

君のことを忘れて生活を送る



そんなこと、出来るわけがないんだ。


いつか離れるのも、別れるのも、記憶から消えてくのもわかってるとして。


必ず記憶というのは褪せて行く。新しいものがどんどん入っていけば古い物、必要性のない物と勝手に思われ選別されて消されてしまう。


二週間たった今、もちろん憶えている。
忘れるつもりなんかない、忘れたくもない。


けれど、今は大丈夫だとして、それから先

まず声が曖昧になって、感触も無くなって、香りも消えて、温度がなくなれば残るのは追憶だけ。人が死ぬのと同じだ。



もしそれを受け入れたとしたら、それは彼女のことを……




「それでも僕はずっと、忘れられないよ」


どれだけ時がたっても、本来そうやって消えていくとしても、

君の声も、存在も、全部忘れられるわけがないんだ。




世界はまわり、時は進む。

たとえ君が望んでいなくても、絶対に叶うハズのない願いだとしても、


どうして、君が居なくなる必要があった。

いつまでこうやって待っていれば君に会える、どこまで行けば莉緒を見つけられる。
この世界の隅から隅まで、人間の一人一人を選別していっても、君を見つけることなんてできないのはわかっている。


ただ、君はこれで、幸せだった?
自分が消えて、幸せだった?


『やっぱり消えたくない』


そんな言葉を残した君は幸せだった?
向こうの世界に戻ったといったけれど君はもう、向こうの世界というのにも存在していないんだろう?


「僕はまだわからないよ」


好きになったんだ。
愛してしまったんだ。

今まで、自分の事をわかってくれる人なんていないと思っていた。
それ故に僕は友達すらも作らなかった。

そして、ようやく同じようにスタンドが見える仲間ができた。
それから、莉緒を本気で、初めてこんなに人間が好きになった。

好きになって、思いも通じて、君は居なくなった。

全部これからなのに





ああ、莉緒の居ない世界は、どうしてこんなにも色褪せているんだろう。








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