流星群を見よう
学校の、休み時間の事。
「ねえ、カキョ」
莉緒は携帯のとあるニュースを見て、ふと思い立ったようにつぶやく。
「どうしたの?」
「今夜、星を見に行こうよ!」
子供のような笑顔で言う莉緒に、花京院の答えは一つだった。
「莉緒が行きたいなら。」
※
(ヒロイン視点)
11月とはいえ夜には冬のような寒さ、学校の近くの公園で待ち合わせをしていた。
ファーの着いたダッフルコートにマフラー。よし、防寒は完ぺき。
「あら、莉緒ちゃんどこか行くの?」
「あ、はい!ちょっと星を見に行くんです!」
おっと、ホリィさんに言わずに家を出てしまうところだった。
さっき承太郎に星を見に行くって言って、ホリィさんにも言った気になってた。
「もしかして、ニュースでやってた流星群?
でもこんな遅くに女の子一人じゃ危なくないかしら……?」
「大丈夫です!一人じゃないですから」
「ということは、花京院君と一緒ってことね。だったら安心だわ」
「って、なんでわかるんですか!?」
莉緒ちゃん顔に出てる、と言われなんかすっごく恥ずかしかった。
そんなに顔に出るのかな、私。
「とりあえず、大丈夫だとは思うけどできる限り早く帰ってきてね。」
「はい!了解です!!」
そういうと、ホリィさんは笑顔で見送ってくれた。
現在時刻は23時、一日がそろそろ終わる。
ちらちらとまだ落ちてこないよね、と空を確認しながら私は公園に向かう。
「うわ、意外と人いる……。」
公園にはちらほらと人がいた。それもほとんどがカップルだったり。
まあ、さすがにこんな時間に親子とかがいても驚くんだけど……。
「莉緒」
「あ、カキョ。同じくらいに着いたみたいだね。」
「そうだね。それにしても、驚いたよ意外と人がいるし。」
考えることは一緒か。でもやっぱりそうだよね、昼より人いる気がするし。
まあ、ニュースでも取り上げられる流星群だしみんな見にくるにきまってるか……。
「で、星はどの方角で流れるかわかってる?」
「え?星って全面的に流れる……わけ、ないよね……」
だんだん声が消えていったのが自分でもよくわかった。だって、カキョがやっぱりって感じに苦笑するから。
「東から南だよ。」
「うぅ、勉強不足ですみません」
勢いだったし、計画も何もなしの上に見る方向まで知らないなんて私は何しに来たんだか…。
「別に気にしなくていいから、莉緒。」
「でも、行こうって言った私がそう言う事全く知らないなんてさ……」
「ほら、そろそろ流れるよ。」
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