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「え、と、私のはなんでもないよ!カキョ、どうしたの?」


付き合いたてとかじゃああるまいし、こんな空気になるのはどうにもおかしい。
そう思いながら、何を言いたかったのか訊く。


「……っと、あの、さ」


「?」


どうしたんだろう。歯切れが悪い。

それでも、最後まで聞くべきだと思って私はじっと、話を聞く。


「君が来て二年になるけれど、この二年間は僕にとって、多分人生の中で一番楽しかったと思う。」

「うん。私も。」


その言葉に同意する。この二年間のカキョとの学園生活はすごく楽しかった。
そして、これからも。会える時間は減っても、きっと。


「……でさ、莉緒、その……」


どうやら、さっきのは話の本題じゃなく前置きらしい。
また歯切れが悪くなる。一体何を言おうとしているんだろう。


「……っ、」

「えっ」


本題が始まるまでじっと眼を見ていると、突然手を握られる。
手を握られて、目があって


「僕と、一緒に暮らしてほしい」


一息ついて言われた言葉は、あまりに衝撃的なものだった。


「…………へぇっ!?」


脳が処理したのにラグが生じ、さらに変な声が出る。
そこはYESかNOかで即答するべきかもしれないけれど、まだその言葉を処理しきれない。

暮らす?一緒に?

確かに、カキョの学校と私の学校はそれなりに同じところにあるけれど。

あるけれど、


「ダメ、かな?」


「ダメもなにも、えっ、いや、突然……」


私の一存で決めていいものなのか。カキョの両親とかの許可を得たりとかしないといけないんじゃあないのか、
私の頭の中でぐるぐるといろんな考えが処理しきれずにめぐる。


「あの、ね、私一人の答えならね……こちらこそ、お願いします…わわっ」


私が回答するのと同時に、握っていた手を解放された代わりに抱きしめられる。
少し痛く感じるくらいに。


「どうしても、伝えたかったんだ。」

「……」

「これから、僕らが一緒にいる時間は減ってしまうから。だから、少しでも長く居たくて」

「そ、っか。」


考えてる事は同じだなって思いながら、私は答える。
鬱蒼とした気持ちが晴れるような気がした。

ああ、今日はなんていい日だと。


「さあ、帰ろうか。」


「うん。」


「莉緒からOKがもらえたならホリィさんは大丈夫だとして、あとはジョースターさんを説得しないと……」


「難しい?」


「莉緒と一緒に居るためなら、大したことない課題だよ。」




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