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「も…ももも物音しましたけど!?」
『確かにしたわね。まぁあんな風にドアがあいてて貴女が一番乗りでした。なんて確証もないし』
「つまりいると!?」
これは、嫌な予感しかしない。宿題とかいってる場合じゃない。
お隣さんの音がこんなに近くに聞こえるわけないし、ならもう確定したといっても過言じゃあないじゃないか。
「う……うわああ…どうしたらいいの?警察?警察呼べばいいの?でも間に合うの?」
『その前に貴女ここに来て無用心とか言って鍵閉めてなかったかしら?いるのばれてるわよ、もしいまの音がどこかから出てきましたって音なら』
つまり、人生終了のお知らせと。
それこそヘブンズドアーくぐりましょうと
「それはいやだ!」
『なにいってるのよ貴女は。貴女は一般的な人間じゃないでしょう?死ぬわけないじゃない』
………
そうでした。私は特殊能力者でした。殺されるわけがありませんでした。
「よし、この部屋に侵入した不届きものを再起不能にするよ!スカイ・カップ」
『……調子のいい子』
そうと決まれば行動は決定したようなもの。
侵入者は影も形もなく……それは私が犯罪だからとりあえず脅して警察送りに!
「このドアの向こうからだよね!行くよ」
『あー……そうね』
勢いよくドアを開け、まるで刑事物のようにバッと中に入る。
「…………えっ」
そしてそこにいた人物を見てその勢いは消えた。
「莉緒……?」
「そういう貴方は花京院さん……じゃない!なーんだカキョだったのか……良かった。」
なにこのオチ。あんなに散々悩んで結局居たのはご本人!なんてさ。
ビックリして損した。
「良かった。って莉緒どうしたの?時間も早いし、玄関……」
「あ!それだけど、いくら家にいるからって開けっ放しは無用心だよ!この世の中誰が不法侵入してくるのかわからないし」
その不法侵入した一人が私だと言うことは今は突っ込みなしの方向で。
「あ、そういえばその前になんでインターホン二回押したのに出てこないの?」
「え?鳴らした?」
ならしましたとも二回。
そんな聞こえなかったわけないでしょ。入浴中とかじゃない限り……
……いやちょっとタイム。ここなんの部屋?奥にもうひとつドア有りますが。
「……うあああぁぁぁ!な゛ななななななんで!インターホン聞こえな、えええええ!?何故半裸ッ!?」
お、おおお落ち着け。どういう、あれがそうなってこうなって、ああなったら、
「何故って……服のまま風呂に入る人はいないと思うけど」
「はははははい!そうですよね!失礼しましたごめんなさいッ」
サッと目をそらし、早く退出しようにも、慌てすぎでドアも満足に開けられない。
オープンセサミ!で開けばどれだけいいことか。
顔は熱いし、手汗で滑るしもうこれはひどい。
耐性がない?違う過激すぎるの!
とにかくここから退出!そして後々土下座!
「し、失礼しました!」
ドアを開ければ私はクールに、あくまでもクールに去りたかった。
そう、去りたかった。
去れた?いや去れなかった。
去ったと思ったら見えたのは天井とカキョでしたから。
「うわ……っ、………え?…え?何これ」
わけわかんないね。私転びましたっけ?転んでませんよね?
仰向けに転ぶなんて器用なこと私できませんよ。ええ。
大体仰向けに転べたとして、目の前にカキョが居るのはおかしいよね。
それにしても入浴後……まだ髪とかも乾いてなくていつもと違う雰囲気。これが特殊効果……
「じゃない!違う!なにこの状況!?」
5W1H!なにが、いつ、どこで、どうしてこうなった!?
「……真っ赤になって慌てる莉緒が可愛いからつい?」
「これ『つい』ですむレベル!?」
「まぁ深く考えなくてもいいと思うよ、どうせこの後なにも考えられなくなると思うし」
「いやそんな爽やかな笑顔で言われても……うぁっ、どこさわって…ちょっ、」
……宿題は、写さしてもらった。
※
ところかわって空条邸
「……お前、莉緒のそばにいなくていいのか?」
『そうね……まあ人間誰しもプライバシーはあるから』
「そうか……」
言い訳はなうにて
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