「あ、またお姉さんよそ見してッ!」
「とと、ごめんごめん」
「よそ見もなにもお姉ちゃんが何しようがお姉ちゃんの勝手だろーがッ!」
一息つけた気が……一息……
いつから一息つけたと錯覚していた、私。
と、また喧嘩を止めないといけない。
全く、承太郎はやれやれだぜと言わんばかりに見てるだけだし、ジョセフさんはもっとやれと煽るし。
唯一アヴドゥルさんは止めようとしてくれる。私の心のオアシスはここにあったんだ……!
「いい加減にしないか二人とも!お姉さんを困らせるな」
アヴドゥルさんの一喝に二人の喧嘩が止まる。
よし、後でアヴドゥルさんには感謝しよう!
「ほら、とりあえず謝れ」
「……ごめん。お姉ちゃん」
「あ、そんな別にいいよ。でも喧嘩はダメだからね!」
ポルナレフが謝った!子供の時は少し素直なんだね、アヴドゥルさんの言うこと聞いて。
「……」
「ほら、お前も」
「ぼくはお姉さんを困らせるようなことしてない」
逆になぜこんなにカキョが素直じゃないのかだれか教えてください。
一体何があったんです彼に。
「充分に困らせていただろう!お姉さんはお前らの喧嘩でストレスが溜まって鼻血が……これ以上何かあったらどうするッ!」
アヴドゥルさん、鼻血は全く関係ないです。
まじめにそんな風にとらえないでください。なんか申し訳ないです。
「そのときは、ちゃあんとぼくがお姉さんを花嫁にして責任とるから大丈夫です」
「ぶっ」
なんかとんでもないこと言われた!
責任ってそっち!?
そんな『大きくなったらパパと結婚するのー』って感じで、
あー、本当に保育士さんになりたい。
「そういう意味じゃあ「大丈夫です。アヴドゥルさん、なんかもう」……そうですか」
なんか、今、すごく幸せだ。
子供に囲まれてるのは随分いいものなんだな……
「お姉さん?……わわっ」
「やっぱり子供って可愛い!」
ふふふと笑いながらまたカキョを抱き上げくるくる回る。
しょ、ショタコン違うよ!!
もうあり得ないことだらけで、頭が本当にハイになってたんだ。
「おい、そろそろ離しとけ」
……承太郎の声だ。
あれ?おかしいな、声が低いぞ。
「え?んぎゃっ!」
突然のことでよくわからなかった。
ほらあれ、12時の鐘が鳴った的な。
流石に男子高校生の体重を持ち上げられないと言うか。
そのままバランスを崩して……
「……こ、この状況は一体」
「僕にもよくわからないかな……」
そんな漫画じゃあるまい。
こんなうまくならないって。
ところがどっこいこれが現実?組み敷かれてるこの状況が現実、夢じゃなくて現実?そうですか。
「やっと戻れたz……って花京院に莉緒おめーら何してんだよ!?こんなところでそんなよぉ!」
「花京院!早く莉緒からはなれんかッ!」
ジョセフさんにポルナレフ、あなた方もお戻りになられましたか。そうですか。
「だから離しとけといっただろーが……」
「全く、何をしているのだか……」
承太郎もアヴドゥルさんもお戻りで……
なんだろうこのなんとも言えない感!いいんだけどね!みんなもどっていいんだけどね!
「わけわかんないよ!!」
私は、すべての思いを込め叫んだ。
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