「あのね、聞きたいことがあるんだ。……いい?」


「うん。いいよ。」


次の日、私はカキョと2人で会っていた。


そして、全部思っていたことを話すことにした。もし、間違っていたとしたらまだ修正可能だから。


「私、今日までずっと思っていたんだ。自分がカキョの人生にこれ以上介入していいのかって。本当なら私は消えているはずの存在で、いちゃいけないから。カキョの人生を狂わせていたら嫌だって。だから、命を救ったとかそういうのは抜きにして……私が邪魔だったら言って。」



「莉緒……」



いきなりこんなこと言ってもどうしたんだろうと思われるのかな。

だとしても、これは言っておかないといけないと思うんだ。



「それとね、私以外に好きな人が居たら……できたとしたら……いつでも言って。私は大丈夫だから……カキョがっ……幸せならそれで……」


最後のほうは嗚咽交じりの声で、聞き取りにくかったらどうしようかと思った。

正直大好きな人にこんなこと言うのはつらい。でも、これははっきりさせないといけないことだから

「どうして、君はそんなに自分を犠牲にするんだい?」


「……っ、犠牲だなんて思ってないよ……」



抱きしめられると、暖かかった。離れたくない。



「僕は、たとえ君が居なくなったままでも君を好きで居続けるよ。それは命の恩人だからとかそういうわけだからじゃあない。ただ一人本当に愛した女性だからだ。だから、君以外の女性を好きになるなんてことはない。」



「―――っ!」


承太郎の言うとおりだった、カキョは私が消えたままでも好きでいてくれると言ってくれた。

本当に、自分は馬鹿なことを考えていたんだなと思って安堵するとまた涙があふれてきた。



「本当は消えるはずの人間、命の恩人、そう言うのを含めても含めなくても莉緒の事を愛しているよ。」



「私だって大好きだよ!本当はずっと一緒にいたい、いらないなんて言われたくない、大好きで大好きで……どうしたらいいかわからないくらい……」


「だったら……」


抱きしめていた手が少し離れたと思えば、手は私の頬を少しなでた。そしてわたしはそのまま軽くキスされた。
「ずっと一緒にいよう。君が僕の事を好きなら。」



「じゃあ、ずっと一緒にいられるかな……」



私は違う世界の人間で
本来ここにいない人間

彼は死を回避して
彼は新しい運命をたどっている

本当ならきっと
私の知らない誰かと出会って

知らない誰かと恋をして

私の知らない生活を送る


でも

彼が私の事を好きでいてくれて、必要としてくれるなら、ずっと一緒にいようと思う。




――迷走は終わった



ずっとが、一生だったらいいな って。



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