君が本当は死ぬハズだった日
見覚えのある場所に私は居た。
夜と言っても街灯でそこまで暗くなく、人通りが多くて車もよくとおっている場所。
妙に冷たい乾いた風が吹き、私は上を見上げていた。
「法皇の……結界……」
デジャヴ……いや、これは過去に会った事。
過去!?なんで私は過去にいるの?スイッチでも押したの?
そんなことよりも、この状況に嫌な予感がして私はスカイ・カップで上に行く。上に上にと行くと、私は結界の向こう側にカキョとDIOがいるのがわかった。
なんで、こんな過去の事がまた起きているのかは分からない。だとしても、とにかく助けないといけない。それだけは理解していた。
一直線にカキョの元へ、少しでも早く。
「カキョ!!」
あの時と同じように私は叫ぶ。
「…莉緒!?」
全く同じ展開。私はあの時と同じようにスカイ・カップの射程内にカキョが入るところまで急ぐ。
そして……
「ザ・ワールド!!」
直前というところでまた時は止まった。
「…その顔、きさまはこの男の事が好きなようだな
そうだ、目の前で殺してやろう。時が動き出したときのおまえの顔が楽しみだ」
セリフまで全く同じ。また時が止まっている感じが視覚のみでわかる。
ただ、そこからおかしい点があった。そして、その点は最悪な事態を引き起こしていた。
体が、動かない。
前は、きちんと動いて、助けることができたのに。
DIOはカキョのほうへと近付く。私は、見ていることしかできなかった。
何で、何で、何で、何で。
ワールドの腕が動く。
助けられない、助けなければいけないのに。
動かない、動かないと、お願い動いて、駄目なら……
夢として覚めて終わって。
「カ……キョ……」
覚めて、そこであの人に悪い夢を見ただけだと言ってほしかった。
時が動き出したころには、私の頬に生温かい雫が飛んできた。
そして、目の前にいたはずのあの人は居なくなっていた。
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