短編 | ナノ
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最悪なことが立て続けに起これば、私だって落ち込む。
どうしようもなく、発散できない思いを泣くことでごまかすことにした今日。

空が私の事を馬鹿にしてるような晴天だった。

そんな、涙でぬれた部屋に、ノックの音が転がった。
もうすでに、泣きすぎで誰にも会えないような酷い顔をしてるというのに一体誰なんだろう。

今日は絶対誰にも合わないと決めた。だから居留守を使ってもばちは当たらないと思う。
そう思っていたら今度はケータイの着信音。


「………なんですか、どちらさま?」


ディスプレイも見ずに電話に出る。上ずった声は出なかったはずだ。


「酷い声だなヨシノ。」


「……露伴先生、いきなりですね。……こんな声なんでとりあえず切っていいですか」


「切る前にドアを開けてくれないか?」


ドアの前にいたのは、露伴先生だったんだ。それはいいけれど、今日は露伴先生だろうと誰だろうと絶対に会いたくない。
呼んだ覚えもないし、
できたら、


「嫌です。」


私に構わず帰ってくれないだろうか。

そこに露伴先生が居たら、私が泣くことができない。


「嫌?何を言ってるんだ君は……」


大洪水の部屋に、ノックの音が飛び込む。
すぐに帰ってはくれないのか、私が拒否したからかまたノックの音。


「露伴先生風に言うとだが断るです。お願いです、早く帰ってください。」


大体どうしてここに来たんだろう、露伴先生は。偶然ならどうしてこうタイミングが悪い人なんだろう。


「―――っ、そんなことを君に言われるなんて心外だッ……。ま、まあ君が何を言おうがどーでもいいけどなッ」


電話越しに聞こえた露伴先生の声は、ひどく狼狽していた。
貴方にそんな困られても、私がさらに困るだけだっていうのに。
静かに泣いていたいだけなのに、なんで来たんだろう……。

ドアの向こうにいる露伴先生は今どんな気分なんだろう。無言になった電話、今はドアを挟んで向かい合わせになってるのか。ドアに覗き穴は付いていないし、インターホンは電源を切ってあるからなにもわからない。



私のしゃっくり交じりの泣き声だけが、部屋の中に響いている。


「露伴先生、あの……なんか用事、ありましたか」






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