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たとえば世界が明日、終わるとしたら
「どうする?」
「難しい質問すんなよ……ヨシノはどうする?」
質問を質問で返すなと怒りたいところだけれど、私は笑ってナランチャに答えた。
「私の場合は……単純なんだけどね……」
この願いが、100年先までずっとかなうといいと思った。
未来の私、その時も私は……
※
護衛チームに入って、私はナランチャと出会った。
最初の頃の印象は……
「13×79は26だ!!」
「このド低脳がッ!」
「うわあああッ!ヨシノ、フーゴを止めてくれ!」
「……あらら。」
手のかかる弟みたいな感じ。
その後同世代と聞いた時には驚いた。
さらに言うとフーゴが年下というのにはもっと驚いた。
いっつも勉強している割にはあまり吸収してなくて、でも戦闘とかになったときはなんか普通に頭いいんじゃないかって思えるような時もあって
いつのまにかナランチャと友達のような感じになって私もときどき勉強を教えたりした。
そんな彼が弟とか友達という見方をしなくなったのは、一年後の些細なことで喧嘩した日。
任務でナランチャと組んで、少し危ない面があった。
「だから、お前女なんだしそんなに無茶な戦い方するなって言っただけだろー」
「知らない。性別なんて関係ないでしょ?馬鹿にしてるの?」
この世界で、女だからってなにか注意されるとどうしても馬鹿にされている気がして、逆ギレした。
そのまま一言も話さないで帰って、みんなに何かあったのかと言われたけれど私もナランチャも何も答えなかった。
そのまま家に帰って部屋にこもっていたら、ナランチャが来た。
「ヨシノ?居るか?」
「……何しに来たの」
ドア越しの会話。
それから少し気まずい沈黙。
「とくになにもないなら帰って。そんなところにいられたら迷惑だから」
「特に何もないわけじゃない!こんな風に喧嘩したままが嫌で……」
「私謝らないよ」
私は、何も悪いことなんかしていない。と付け足してまた口を閉ざした。
「な、なんだよそれ!確かに俺も悪いと思ったけどお前に全く非がないわけないだろー!」
「じゃあ、もう和解不成立。五年経ったって私たちわかりあえないよ」
「……意味わかんねー。」
「仕方ないよ、ナランチャだから」
そういうと、一回ドアノブが動く。でも鍵がかかっているから開くわけない。
「………」
そこから何か言われた気がしたけれど、黙ってた。
あきらめるまで、ドアの向こうのナランチャがいなくなるまで。
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