短編 | ナノ
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※少々グロテスクな表現があります。




「君の手は、とてもきれいだね」


「御世辞ですか」


褒められるというのは、とてもうれしいことだ。


「御世辞じゃあない、現に会うたび君にはそう言っている。」


「知ってます。ありがとうございます、吉良さん」


吉良さんは、私の従兄。

同じ地域に住んでいて、ときどき会う。そのたび私の手がきれいだって褒めてくれる。


吉良さんは私よりも年上で、落ち着いていて、小さいころからのあこがれで、大好きだった。


「吉良さん、彼女とかは居ないんですか?」


「会うたびに訊かれるけど、相変わらずだよ。」


「そうですか」


かっこいいのに、女性の影もない。

絶対にもてるのに。でも、居ないと聞いていつもわたしはホッとしていた。


「じゃあ、また今度。ヨシノ」


「はい、吉良さん」



ときどきあって、こんな風に会話して、こんな日常が好きだった。

次会うときは、告白するぞ。

なんて、考えて。従兄でも、恋愛感情として吉良さんの事が好きだった。


でも、そんな日々が崩れたのはすぐだった。





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