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さて、一体どうしたものか。
とりあえずタオルケットを用意すればいいけれど誰か貸してくれる人はいないか。
てかダラダラしていたらブチャラティ起きるし、アバッキオ怖いし。
「なーにしてんだよッ、ヨシノ」
「っ、びっくりさせないでよミスタ!」
どうしようか考えてまた立ち往生していると今度はミスタに話しかけられた、というか驚かされた。
何がしたいのさ全く
「なんか悩み事かァ?あ、仕事変われって言うのはナシな」
「そういうのじゃないって。あ、そうだ……いややめとこ」
「途中まで言ってやめんなよ、どうした?」
「タオルケットとかないか聞きたかったんだけど……ミスタのは借りてはならないと判断した。」
トリッシュの発言による風評被害だけれど、ちょっと罪悪感もあるけれど。
彼からは借りたくない。ブチャラティが悪夢を見たら大変だ。
「どォーいう意味だッ!つかタオルケット?オメーもってないのかよ?」
「いやー、あるって言えばあるけど随分かわいらしい紫色の花の刺繍があってね」
花の刺繍に蝶々
いや、これがコミカルじゃなくて普通に綺麗なのなら何の考えもなく渡していたよ、うん。
「可愛いのが問題だァ?どういうことだよ」
「だってブチャラティがかわいらしい刺繍のタオルケットかけて寝てたらやでしょ!絵面的に」
「……………」
「ちょっと、想像しないでよ」
「……いや、まァ確かにアレだな。」
どんなのを考えたのか表情的に無いと判断してくれたようだ。
ナランチャとかならあのかわいいのでOKなんだけれどね。
「そうだな、オレもなんか探しといてやるよ。いつもの部屋だな」
「グラッツェミスタ!そうそうあの部屋ね。できるだけ急いでね、あと出来たらアバッキオに絡まれて仕事する羽目になって私の仕事減らしてね」
「最後のが明らかに余計だぜェーッ!」
なんやかんやでミスタは非常に頼りになる男だ。
だから私の分の書類も減らしてくれればいいと思う。じゃなくてはやくブチャラティの為にタオルケットを探さなくては。
タオルケット、タオルケット。早くしないと各方面から叩かれる。
主にアバッキオに叩かれる。
「また…。仕事はどうしたんですかヨシノ」
「じょ、ジョルノ!…様」
「様はいらないと言っているでしょう。なにしてるんですか」
また考えて、もうこの際自分のでもいいかななんて考えていたらジョルノに声をかけられた。
忙しい時期に、珍しい。……じゃなくて
「えっと、いい感じのかけるものを」
「ブチャラティにですか?」
ご明察。さすがパッショーネボス。部下の考えなんてお見通しですか。恐ろしい。
とりあえずお仕事はさぼっていませんアピール。
無駄ァとかされてあの部屋に突っ込むなんて嫌だ。
「えっと、ブチャラティにも仮眠が必要だからえっと」
「別に仮眠くらいで彼を責めたりはしませんよ。」
怒られることはないと聞いてほっとする。
ジョルノもアバッキオと同じで休憩は必要と思ってくれたんだろう。
「でも私のタオルケットじゃほら、何と言うか……」
「アリウムみたいな花の刺繍のあれは少々可愛すぎますからね」
「そうそう……ってなんで私のタオルケットの柄を!?」
「前に見ましたから」
見せた覚えはございませんけれど。全く見せた覚えがありませんけど。
だめだ、ここはスルーだ。きっと洗濯物の時に見たに違いない。いや柄を知っていたからと言って何か問題があるわけじゃあないけれど。
「というわけでいい感じのタオルケットとかないでしょうか、そろそろ起きちゃ「ヨシノ、こんな所に居たのか」っていた!」
手遅れだ!見事にそこには起きて私の元に歩いてくるブチャラティが!
あたふたしてる私を呆れたようにジョルノは見ている!
「起きたら居なくてどうしたかと思えば…手間取らせてしまったようですまない。」
「えええ、いや、私が勝手にしたことだから気にしないでブチャラティ!」
まさか謝られるとは、そしてわざわざ来てくれるとは心にも思っていなかった。
嬉しさもあるけれど、罪悪感もある。
「えっと、もう大丈夫?」
「ああ、寝たからな。」
「そっか、ならいいや。」
そう微笑んで言われると、私にも自然と笑みがこぼれる。
アバッキオが落ちつける場所と言ったのも頷ける。ブチャラティのそばにいるといいようのない安心感がある。
「さて、じゃあ仕事を再開するぞ。見つけ次第再開とアバッキオも言っていたしな。」
「あっ……アバッキオが」
これは、怒られる。嫌味を言われるどやされる。フルコース。
「今はアバッキオとミスタがやっている。早く戻るぞ、ヨシノ」
ミスタ、巻き込まれたか……。
なら多少分担的に作業は減っているはずだ。
「そうだね、仕事再開!」
ブチャラティの後に続き。忙しい仕事の再開の為部屋に戻るのだった。
今が幸せですか、と訊かれたら きっと幸せだ。みんないるから。
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アリウム(花言葉:やさしい)
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