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どうしようもなく意味のない、どうしようもなくどうにもならない話をしましょう。
必要とされたことのない人間の、どうしようもない話。
生きていることを否定されることもなく、生きていることを肯定されるわけでもないどうしようもない人間が私だった。
どうにかして人に存在価値を、どうにかして人に私を必要ある人間と見せるために、誰かに必要とされるために、あがいてあがいていた時代がありました。
人の目を見ず人の顔色をうかがい、自分に自信がない時代。
こんな私を面と向かって必要としてくれる人間はもちろんいるわけなかった。
真に必要になんてしてくれる人間は。
それでも完全に否定されるのが怖くて、それでもいつか私を認めてくれる人が居るはずだとそのまま頑張っていた。
無理に無理を重ね、いつか詰みに入ることも知りながら。
そんなある日、別のチームの配属になった。
確実に信頼など手に入れることのないチーム。
信頼なくてもいい、誰かに必要とされないことのほどがよほど怖い私は命じた人間を殺していく仕事をし始めた。
同じチームの人間は正直なところ苦手だった。
一度として、彼らの目を見て何かを話すことはできなかった。
それに何か言われることもなかったし、自分を殺して全て肯定を続ければいいと思っていた。
チームのリーダーは私にとっての憧れで、影から見ているのが好きだった。
自分とは違って、チームの全員から必要とされている存在。
彼のようになれるわけもないし、彼と私がほぼ対極にあるほどに種類が違うこともわかっていた。
『人の目を見て話せ』
『臆するな』
誰も、気にかけてくれるはずのない私を唯一叱ってくれた彼が好きだった。
全てにおいて自分を上回っている彼が憧れだった。
彼に必要とされることは一度としてなかったと思う。
必要とされることもなく、居なくなってしまったから。
憧れだった故に、超えたくなって、壊したくなって、追い抜いてみたいと思ってしまった。
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