短編 | ナノ
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このまま死にたい。
好きな人に殺されたい。
強く、強く締められて、死んだあとも体の一部が愛されるなんて幸せ。

殺してくれと懇願すれば、素直に応えてくれる貴方が好きでたまらない。

「これで、満足か?」

そう囁いて、私を殺してくれた。
きっとすごく面倒だったでしょう、いつもとは違う殺し方だもの。でも他の人と同じ殺され方は嫌。その他大勢と一緒なんて、それじゃあんまり。せっかく自分の手を切り落としてまでアピールしたのに。

貴方の人生で最後まで覚えていてもらうために、いいじゃないですか、永遠に一緒にいられるわけじゃあないもの。ほんのひととき、それを覚えていてもらうために。


意識が完全に落ちたら私はどこに行くんだろう、こんなによくだらけの私はきっと地獄行き。

地獄に落ちたら救われる。天国に昇ればまた会える。
私に罰を、地獄で与えてください。

殺人依頼は立派な犯罪。独占欲も罪。我が儘だって罪。


純粋な貴方は天に来る。だって、いくら貴方が人を殺していたって、それは仕方のないことだったんだもの。人が否応なしに生命を奪うのと同じ。そんな貴方が地獄に落ちるわけなんてない。仮にあなたが落ちるなら、今頃地獄は人でいっぱいでしょうね。
だから、その時までに私の罪が晴れてるならそこで会いたい。






――結局二人が行きつく先は、天国でもなければ地獄でもない


幸福な死を(song by 初音ミク)


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