短編 | ナノ
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少し冷静になったところで考えると、露伴先生には酷いことを言いすぎた。
何か用事があってきたなら、謝らないといけない。


「君が泣いているのを見たから、来た。」


「えっ」


それは、心配してくれたと解釈していいんだろうか

「君が何を考えているかは知らないけど、勝手に勘違いしていればいいさ。」


「そうですか」

ツンとした声で言っているけれど、心配して、ここに来てくれたんだ。露伴先生は本当に、優しい。
さっきまでのこと、全部謝らないと。


「露伴先生、さっきはすいません。今はもう大丈夫です……部屋に入ってください。

でも、困ったことにドアがあかないんです。溜まった涙の水圧で、こっちからじゃ。
露伴先生、そっちからドアを開けてくれませんか?鍵ならもう開けました……」


話すことに夢中で全く気付いてなかったけれど、今私のケータイから聞こえてくるのはツーツーという無機質な音。ドアの向こうにも人の気配を感じない。


どうして、まさか




「こんなのないですよ……」


あんなにひどいことを言ったのだから当たり前なのかもしれない。文句なんて言えない。
だって、私は帰ってほしいと何度も言った。

でも、私一人を置いて、本当に構わず帰って、信じた瞬間こんな事になった。


「……ッ」


また泣きそうになった時、ドアの反対の窓の方から人の足音。
ドアの前でへたり込んでいる私を見て、目をそらしながら

「君に笑顔をもってきてやったぞ、ヨシノ。」


笑顔をもってきた、なんて


「露伴先生ぇ……っ」


また泣かせてどうするつもりですか、本当に……。

また泣きだした私に、露伴先生はテーブルに置いてあった鏡を私に向けて


「君の泣き顔、笑えるくらい酷いことになってるな。」


一瞬あっけにとられたけれど、本当だ。笑えた。



ラフメイカー(Song By:BUMP OF CHICKEN)


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