短編 | ナノ
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ヨシノはなぜか私を殺しにかかってくる。私は放っておいてもその辺でどうしようもない死に方をしているというのに殺してくる。
朝起きれば鉛玉を、三食の食事には必ず毒、就寝時には首を絞める。

元パッショーネの情報分析チームの者に会えたことにほっとしたのもつかの間、その上理由はわからないが死んだ後生き返る際他の所に行くことが無くなった。ヨシノのそばから離れられない。


「毒なら体内に残留してそのうち永眠すると思ったんですがそうもいきませんね」


正直何故こいつが暗殺チームじゃあないのかと思うところだが、まあいい。

悪いヤツではない、いままで死んで来た中、もっとひどい殺し方をするやつは居た。
ただ、どうしても、あいつは私を殺すときにするあの……どうしようもなく悲しそうな顔、それでよかったと納得させようと葛藤する表情が嫌いだった。殺すのなら、もっと違う表情をすればいいのに。


「刺しても死なない、毒でも死なない、轢いても死なない、撃っても死なない。バリエーションがなくなってきましたね。」


指折り今までの殺し方を数えるヨシノ。
ああ、またあの表情だ。

「いつまで続けるつもりだ、こんな無駄な事」


そんな表情をされ、不意にそんなことをヨシノに訊いていた。
これを聞いたからと言って、じゃあやめるなどという女でもないのに。
が、


「ボスが死ぬまで続けますよ」



(ああ、そう言う事だったのか)



この返答でようやく、ヨシノが私をどう思っているのかわかったような気がした。







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