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自分が護衛チームと接触したのは、ギアッチョが交戦してから数時間たった後。
娘のトリッシュを傷つけず、奴らだけを始末するのは私の能力でも簡単なはずだった。
「………ごめん、みんな」
銃弾は確実に急所に入っている。こんな事になる予定はなかったのにな、と頭の中で愚痴を吐く。
目を閉じて、マフラーを握りしめ、またあの日の事を思い出す。マフラーを貸してもらって、縮めて、怒られて、とかしていたあの時。
電話で、信じろと言ってくれたあの時。
走馬灯って言うのはこういう物なのかと思いつつも、彼らが死に瀕した時もこんな感じだったのかというどうしようもない考えが頭をめぐる。
「………寒い」
そろそろ、意識も飛びそうだと思うと春には似合わない冷たい風が頬を掠めた。
「こんな日までホワイトアルバム使わなくていいと思う……ほら……解除解除」
こんなこと言ったら、また怒られるだろうか。せっかく来てくれたのに。
だったら、いい忘れていたことを向こうに行く前に言おう。
――結局好きだったみたい
みたいだなんてあいまいな話でキレられるかもしれないけれど、最後に出た答え。
そう言えば向こうにマフラーは持っていけるんだろうか。
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