短編 | ナノ
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さすがに、帰ったか私はドアの前から離れた。

その時、


『〜〜♪』


電話が鳴った。

ディスプレーも見ずに、私はとり


「もう放っておいてよ!」


と怒鳴りつけるように言った。



『……ヨシノ、僕ですよ。』


「え……フーゴ?」


どうせナランチャだと思っていたから拍子抜けした。



『相当怒ってるみたいですけど、やっぱりナランチャが原因ですか?』


「……多分」


『あいまいな答えですね。』


多分、さっきまでならそうだって答えられたけれど、第三者と冷静になって話すと多分、になっていた。


『冷静になれたのなら聞いてください。ナランチャが何を言ってヨシノを怒らせたのかは大体予想がついています。でも、それは心配しているからですよ。馬鹿にしたわけでもなく、差別したわけでもなく単純にあなたを心配して。

本当はもう気付いているんでしょう?』


フーゴの言う事にはなにも反論できなかった。

そのまま、本当にそれが真実だから。

ナランチャはそんな変に差別とかする人じゃない。



「ごめん、切っていい?」


今すぐ、私が謝らなきゃいけない。


それがわかったのかフーゴははいと一言答えた。


電話をすぐに切ると私はドアのカギをまわして、すぐにドアの外に出た。



「痛っ!」


「ってナランチャ!?まだいたの!」


どこにいるかとか探すことなく、即発見。

というか、まだドアの前にいたんだと少し驚いた。


「まだも何も、ヨシノと仲直りできるまでいるつもりだったし。」


ドアを開けた時頭をぶつけたのかナランチャは頭を押さえながら言う。

それよりも、仲直りするまでいるってもし私がこのままフーゴから電話もなくふてくされてて次の任務が来るまで引きこもってたらどうするつもりだったんだ。


「……ナランチャ、もし私がこのまま一日中出てこなかったらどうするつもりだったの?」


「だからさっきも言っただろ、仲直りするまではここにずっといるつもりだったって。」


「一日どころじゃなくて一週間出てこなかったら?」

「待ってる。」


馬鹿げた話。普通の人なら嘘つくなですみそうな話。

でも、ナランチャなら本当にやりそうで


「もっと長い時間でも?」


「さっき五年とか言ってたけどそれくらいなら簡単に待てるぜ!それでもだめなら10年だって50年だって……」


なんで、そんなこと言うんだろう。


なんで、そこまでしてくれるんだろう。



頭が混乱して、でも悲しくてうれしくて。

ごめんなさいって言いたくて。



「じゃあ、もし、50年たってもだめなら?」


「そんなの決まってんだろ!死ぬまでまつ!」


そう言ったナランチャの笑顔が、あまりに明るくて、私は我慢が出来なくて泣いて、


ごめんなさいと何回も連呼して、


「もういいよ、俺だって悪かったから。ごめんなヨシノ」


「私も、変な意地はってごめんね、ナランチャ」


その後、私とナランチャは笑っていた。


そして、私は彼の事を弟や友達として見るのをやめた。



「……やっぱり仲直りしないほうが得な気がする……」

「えッ!?なんでだよ」


「だって、仲直りしないと居るんだったら、仲直りしたらナランチャ一緒にいてくれないんでしょ?」


そう言うとナランチャは少し考えて、難しいこと言うなよとか言って。

でもすぐにいい事を考え着いたみたいな顔して


「簡単じゃん!仲直りしても一緒にいればいいんだ!」

と言った。

そんな彼が愛しくて


「じゃあ、ずっと一緒にいてね」



愛してる、なんて言うのはさすがに無理だけど。


それに近い言葉を私は言った。







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