異質な吸血鬼・ユーリ
夜のエジプトは静まり返っていた。
そんな中でことは起きていた。
突然、ガラスが割れる音がし
その後走る足音がふたつ。
そのうち足音のひとつ、追うものは止まり追跡を諦めた。
「上手く逃げられたな…」
そう呟いた時、彼はスークの一角に目が行った。
こんな時間に女性が二人いる。
片方は成人しているであろうが、もう片方は高校生くらいの少女だ。
そしてよくよく見て見れば女性は倒れている。
「これも食事のひとつなの、ごめんなさいね」
そう言い少女はにやりと笑うと女性の腕に刃物を突きたて軽くその肌を切った。
少量の血が腕をつたう。少女はそれを舐めた。
彼はその様子を見て、彼女は同じだとすぐに理解した。
「…食事中に人に見られたなんてちょっと厄介ね」
食事中の彼女は彼のほうを見ずに言った。
「いいや、こちらからすれば好都合だ」
これが二人の吸血鬼が出会った瞬間であった。
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