兄弟
とはいっても、これを最後のゲームとポーカーをしていた。
「フフフ、実に面白い。」
「あら、いい手でも来たの?」
ユーリが訊くと、そうではないとダニエルは言う。
「君たちの事だ、君とテレンス。」
そういいながら、ダニエルはカードを一枚チェンジする。
「そんなに面白いことしたかしら。いつもあんな感じだけど」
ユーリはカードを一切チェンジせずに、コインを上乗せして言った。
「弟は、DIO様と君二人に仕えているような気がしてね。」
「そんなことないわ、私はただの居候だもの。」
ダニエルの言葉にユーリは苦笑して返す。
「弟は昔、将来黒い吸血鬼に会う、と言っていた事があってね。まあ、ただ一回の独り言のようなものだったんだが……黒い吸血鬼、偶然にしては出来すぎてはいないか?
コール、ストレート。」
「偶然よ。Aのファイブカード」
ユーリは手札を開き、勝ったとわかると後は片付けておいて、と言って部屋を出て行こうとした。
「ユーリ、最後の最後にイカサマは良くないな。」
「最後でも最初でもイカサマはイカサマよ。なんでわかったの?」
「Aは一つのトランプに4つしかない。ジョーカーなしにファイブカードができるわけないだろう」
そうだったわね、忘れていたわ。と言ってユーリは部屋を出て行った。
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